浄土真宗の開祖親鸞の墓所。京都市東山区五条橋東にある。俗に西大谷と称する。1262年(弘長2)親鸞が死ぬと,鳥辺野の北,大谷の地に墓がたてられたが,それは1基の墓標に柵をめぐらす簡素なものであった。72年(文永9)大谷の西,吉水の北にある末娘覚信尼の住地に堂を建てて遺骨を移し親鸞の影像を安置した。これを大谷廟堂と称する。77年(建治3)尼は敷地を門弟の共有とし,堂の守護(留守職)は尼の子孫が継ぐよう定めた。その後,尼の次子唯善が留守職の権を奪おうとして堂を破壊する事件があった。第3世留守職覚如は廟堂を寺院化して本願寺と称した。堂は1336年(延元1・建武3)の兵火に焼け,1465年(寛正6)比叡衆徒の破却に遭った。1603年(慶長8)知恩院拡張のため現在地に移った。
執筆者:千葉 乗隆
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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