精選版 日本国語大辞典 「天体力学」の意味・読み・例文・類語
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ニュートンの万有引力の法則に基づいて天体の運動を記述する学問分野。ケプラーの発見した火星や金星などの運動に関する法則を説明するために導入された万有引力の法則であるが、太陽系の天体ばかりでなく、質量をもつ天体にはすべて当てはまり、星団や銀河系内の星の運動、銀河団の中の銀河の運動の研究にも使われている。
質量をもつ物体(天体)は他の物体(天体)に一定の作用をする。いくつもの天体があっても、それらの作用をすべて加え合わせると、作用を受けている天体の運動を次々と説明できる。つまり、ニュートン力学が成り立つ範囲では、最初の条件がすべて決まれば、それ以後のすべての天体の動きを明らかにできるばかりでなく、過去にさかのぼって計算することも可能である。
天体の動きを一定の式を使って解析的に記述することは非常にむずかしい問題である。2体のみが存在する場合には、ケプラーの法則に使われたように、2体の運動を完全に解析的に解くことができる。3体の場合には特別の初期条件の場合にのみ解析的に解ける。このように特別な例を求めることが19世紀に精力的に行われた。フランスのルジャンドルやポアンカレなどの数学者が活躍した。
一方、3体目の影響を2体間の運動に対するわずかな乱れとして取り扱う摂動論の研究が進められた。この手法は、太陽系のように大きな質量をもつ天体(太陽)があるような場合には有力な手段である。1846年の海王星の発見は、天王星の動きに対する各惑星による摂動量が計算され、それでも説明しきれない影響を与える天体の位置が予言され、それに基づいて発見されたもので、天体力学の大きな勝利の一つである。
20世紀に入っての天体力学はいかに手順よく計算を進めるかが中心テーマで、あまり本質的な進展はみられなかった。しかし1950年代以降のコンピュータの発達と、人工衛星の打上げによって、その精度が飛躍的に向上した。その結果、天体力学の応用範囲も広がっている。月探査機アポロ号の月着陸や惑星探査機ボイジャーの木星・土星探査の際には天体力学は重要な役割を果たしている。小惑星や月の運動を数百万年以前にまでさかのぼって計算し、その起源を考えるデータを提供している。また銀河系内の星の運動を記述する恒星系力学も発展している。しかし、水星の近日点移動の問題にみられるように、天体力学の応用範囲は相対性理論の影響が小さい場合にのみ限られることを留意しなければならない。
[磯部琇三 2015年5月19日]
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