太子(読み)タイシ

デジタル大辞泉 「太子」の意味・読み・例文・類語

たいし【太子】

大阪府南東部、南河内郡地名二上山にじょうさんの西麓で、小野妹子おののいもこの墓、聖徳太子びょうなどがある。
兵庫県南西部揖保いぼ郡の地名。姫路市の西隣にあり、斑鳩寺はんきゅうじ・いかるがでらは聖徳太子の建立といわれる。

たい‐し【太子】


皇位を継ぐものと定められている皇子王子東宮とうぐう。ひつぎのみこ
古代中国の、天子諸侯世継ぎ
聖徳太子」の略。
[類語]皇太子東宮

コニセシム【太子】

《古代朝鮮語》三韓の皇太子。コンセシム

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精選版 日本国語大辞典 「太子」の意味・読み・例文・類語

たい‐し【太子・大子】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 古代中国の天子や諸侯の世継ぎ。嫡男
      1. [初出の実例]「大将の〈略〉白虹、日を貫けり。太子、懼ぢたりと、いとゆるらかにうち誦したるを」(出典:源氏物語(1001‐14頃)賢木)
      2. [その他の文献]〔礼記‐王制〕
    2. 日本で、皇位を継承する皇子や王子。皇太子。東宮。ひつぎのみこ。
      1. [初出の実例]「即太子進当御座拝」(出典:西宮記(969頃)一)
      2. 「君は天照大神四十八世の御末、神武天皇より七十八代にあたらせ給ふ、太子にも立ち位にもつかせ給ふべきに」(出典:平家物語(13C前)四)
    3. 天子の男の子。
      1. [初出の実例]「父のおぼえ三人の太子に超たりしかば」(出典:太平記(14C後)一二)
    4. いちばん年長の子。嫡男。
      1. [初出の実例]「為太子幼弱喪礼」(出典:続日本紀‐神亀五年(728)九月壬子)
      2. 「而依年来子、任処分帳之旨、宛行大子処也」(出典:高野山文書‐承久元年(1219)九月二三日・尾張末恒田地充文)
    5. 香木の名。法隆寺別名。分類は佐曾羅(さそら)。香味は苦甘酸。六十一種名香の第一。〔名香目録(1601)〕
  2. [ 2 ]
    1. [ 一 ] 聖徳太子(しょうとくたいし)のこと。
      1. [初出の実例]「太子七寺を起す。四天皇寺・法隆寺・中宮寺・橘寺〈略〉」(出典:知恩院本上宮聖徳法王帝説(917‐1050頃か))
    2. [ 二 ] 悉達太子(しったたいし)のこと。
      1. [初出の実例]「たいしの御幸には、犍陟駒(こんでいこま)に乗りたまひ〈略〉檀特山にぞ入りたまふ」(出典:梁塵秘抄(1179頃)二)

コニセシム【太子】

  1. 〘 名詞 〙 ( 古代朝鮮語で、「コニ」は大の意、「セシム」は王子の意か ) 百済の王子、皇太子。コンセシム。
    1. [初出の実例]「秋八月癸未の朔戊申に百済太子(コニセシム)(〈別訓〉こむせしむ)淳陀薨(みうせ)ぬ」(出典:日本書紀(720)継体七年八月(寛文版訓))

コンセシム【太子】

  1. 〘 名詞 〙コニセシム
    1. [初出の実例]「百済太子(こにせしむ)(〈別訓〉コムセシム)淳陀薨(みうせ)ぬ」(出典:日本書紀(720)継体七年八月(寛文版訓))

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改訂新版 世界大百科事典 「太子」の意味・わかりやすい解説

太子[町] (たいし)

大阪府南東部,南河内郡の町。人口1万4220(2010)。金剛山地北部の二上山西斜面と石川流域の平たん地よりなり,東は奈良県に達する。古代に難波と飛鳥を結ぶ官道として開かれた竹内(たけのうち)街道に沿う。河内飛鳥の一角を占め,王陵の谷といわれるほど古墳が多く,敏達,用明,推古,孝徳の天皇陵や聖徳太子の磯長(しなが)墓があり,近くには〈上の太子〉と呼ばれる叡福寺がある。竹内街道は江戸時代に参勤交代路として重視されたが,明治以後は衰えた。基幹産業は農業で,米作,ミカン・ブドウなどの栽培が盛ん。金剛砂の採掘や作業手袋の製造も行われる。1973年ころから住宅団地の建設も始められ,人口も増加している。北部を近鉄南大阪線が通る。
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太子[町] (たいし)

兵庫県南西部,揖保(いぼ)郡の町。1951年斑鳩(いかるが)町と太田村,石海(いわみ)村が合体,改称。55年竜田村を編入。人口3万3438(2010)。播州平野西部に位置し,西部を林田川,中央部を大津茂川が流れる。聖徳太子ゆかりの地で,古代には法隆寺領鵤(いかるが)荘が設けられ,同荘の政所をかねた斑鳩(はんきゆう)寺が建立された。播磨工業地域に含まれ,電気機械,マッチ製造などの工場が多く,中央を国道2号線が横断し,179号線を分岐するなど,交通の便もよい。北東部の丘陵地や低地に住宅地が次々と形成され,隣接する姫路市,竜野市(現,たつの市)のベッドタウン化が進み,人口も増加した。斑鳩寺には寺宝が多く,鎌倉時代の作といわれる釈迦三尊や室町時代の様式を残す三重塔は重要文化財に指定。
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普及版 字通 「太子」の読み・字形・画数・意味

【太子】たいし

王の嫡子。

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世界大百科事典(旧版)内の太子の言及

【皇太子】より

…天皇の位を継ぐべき皇子。たんに太子ともいい,〈ひつぎのみこ〉〈もうけのきみ〉,東宮,春宮,儲君(ちよくん)ともいう。皇太子は,天皇在位中に,皇子,皇孫,皇兄弟またはその他の皇親のうちから定められ,立太子の儀が行われるのが恒例である。…

【磯長】より

…現在の大阪府南河内郡太子町の一部の歴史地名。科長とも記す。…

【鵤荘】より

…播磨国揖保郡の荘園で,現在の兵庫県揖保郡太子町を中心とする地域。大和の法隆寺領。…

※「太子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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