精選版 日本国語大辞典 「女郎花」の意味・読み・例文・類語
おみな‐えし をみなへし【女郎花】
〘名〙 (「おみなべし」とも)
① オミナエシ科の多年草。各地の日当たりのよい山野に生える。秋の七草の一つ。茎は直立して高さ〇・六~一メートルくらいになる。葉は対生し、長さ六~一二センチメートルの長楕円形で羽状に分裂する。夏から秋にかけて、枝の先端部に黄色の小さな花が多数、密に集まって咲く。根を煎(せん)じたものは吐血、鼻血などに薬効があるという。漢名は黄花龍芽で、敗醤はオトコエシの漢名。おみなし。おみなめし。ちめぐさ。あわばな。《季・秋》
※万葉(8C後)一七・三九四三「秋の田の穂向き見がてりわが背子がふさ手折(たを)りける乎美奈敝之(ヲミナヘシ)かも」
② 襲(かさね)の色目の名。表が黄、または、経(たていと)が青で緯(よこいと)が黄、裏は青。秋に着用する。おみなえしいろ。
③ 女性のたとえ。歌に詠まれることが多い。
※能因歌枕(11C中)「をみなへし、女にたとへてよむべし」
おみなめし をみなめし【女郎花】
[1] 〘名〙
② 粟(あわ)、または、粟めしの女性語。近世を通して上流家庭で用いた。〔日葡辞書(1603‐04)〕
[2] 謡曲。四番目物。各流。作者未詳。古名「頼風」。石清水八幡のふもとの男塚女塚に葬られている小野頼風と妻の霊が、邪淫の悪鬼に責められていることを語る。
[補注]中世の「をみなべし」の変化形。室町頃から多用された。
じょろう‐か ヂョラウクヮ【女郎花】
〘名〙
① 植物「おみなえし(女郎花)」の異名。《季・秋》
※車屋本謡曲・姨捨(1430頃)「盛ふけたる女郎花の」
② 植物「もくれん(木蓮)」の異名。〔薬品手引草(1778)〕
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