(読み)マイ

デジタル大辞泉 「妹」の意味・読み・例文・類語

まい【妹】[漢字項目]

[音]マイ(呉) [訓]いもうと いも
学習漢字]2年
いもうと。「義妹愚妹姉妹実妹従妹弟妹令妹
[難読]従姉妹いとこ妹背いもせ妹兄いもせ兄妹きょうだい十姉妹じゅうしまつ吾妹わぎも

いも‐うと【妹】

《「いもひと(妹人)」の音変化》
きょうだいのうち年下の女。⇔
《「義妹」とも書く》夫や妻の妹。また、弟の妻。義妹ぎまい
古く、男からみて、その姉妹を呼ぶ語。妹、または姉。⇔兄人しょうと
「―の君の事もくはしく問ひ給ふ」〈帚木
[類語]実妹義妹弟嫁おとよめ亡妹愚妹令妹賢妹妹御いもうとご長妹次妹末妹

いも【妹】

男が女を親しんでいう語。主として妻・恋人をさす。⇔
「秋さらば見つつしのへと―が殖ゑし屋前やど石竹なでしこ咲きにけるかも」〈・四六四〉
男の側から姉または妹をよぶ語。⇔
言問はぬ木すら―ととありといふをただひとり子にあるが苦しさ」〈・一〇〇七〉
女どうしが友人や妹を親しんでいう語。
「風高くには吹けども―がため袖さへれて刈れる玉藻ぞ」〈・七八二〉

も【妹】

いも(妹)」の音変化。
「旅とへど真旅になりぬ家の―が着せし衣にあか付きにかり」〈・四三八八〉

いも‐と【妹】

いもうと」の音変化。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「妹」の意味・読み・例文・類語

いも【妹】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 男性の側から、同腹の姉妹を呼ぶ語。年齢の上下に関係なく、姉をも妹をも呼ぶ。いもこ。⇔兄(せ)
    1. [初出の実例]「次に成れる神の名は、宇比地邇(うひぢにのかみ)、次に妹(いも)須比智邇(すひぢにのかみ)」(出典:古事記(712)上)
  3. 男性から結婚の対象となる女性、または、結婚をした相手の女性をさす称。恋人。妻。⇔兄(せ)
    1. [初出の実例]「是に其の妹(いも)伊邪那美命を相ひ見むと欲して、黄泉国(よみのくに)に追ひ往く」(出典:古事記(712)上)
    2. 「かりごもの思ひ乱れて我恋ふといも知るらめや人し告げずは〈よみ人しらず〉」(出典:古今和歌集(905‐914)恋一・四八五)
  4. 年ごろの若い娘。お嬢さん。娘さん。
    1. [初出の実例]「本辺(もとへ)は 君を思ひ出 末辺(すゑへ)は 伊毛(イモ)を思ひ出」(出典:古事記(712)中・歌謡)
  5. 女性が同性の友人や自分のいもうとなど親しい女性をさしていう。あなた。
    1. [初出の実例]「風高く辺には吹けども妹(いも)がため袖さへ濡れて刈れる玉藻そ」(出典:万葉集(8C後)四・七八二)

妹の語誌

( 1 )「いも」という語形は、おそらく、母の「おも」、女の「め」などと関係があり、近親の女性を指したのが原義であろう。
( 2 )平安時代以後、「いもうと」という語の成立にともなって「いも」は歌語化した。「源氏物語」では、歌またはその引用文にしかあらわれない。「日葡辞書」でも詩歌語とされている。→いもうとおも


いも‐うと【妹】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「いもひと(妹)」の変化した語 )
  2. 男性の側から、姉妹を呼ぶ語。古くは年齢の上下に関らず姉をも呼んだが、のち、年下の女きょうだいだけに限られるようになった。いも。いもと。⇔兄人(しょうと)
    1. [初出の実例]「昔、男、いもうとのいとをかしげなりけるを見をりて」(出典:伊勢物語(10C前)四九)
  3. ( 兄妹になぞらえて ) 男の側から、親しい女性をさしていう。いも。
    1. [初出の実例]「このいもうと、せうとといふことは、上(うへ)までみな知ろしめし、殿上にも、司(つかさ)の名をば言はで、せうととぞつけられたる」(出典:枕草子(10C終)八二)
  4. 女のきょうだいのうち、年下のほう。⇔。〔十巻本和名抄(934頃)〕
  5. 妻や夫の妹、弟の妻など。義妹。

妹の語誌

( 1 )平安時代に成立した語。「せうと(しょうと)」と対をなして用いられた。妻や恋人は指さないが、異腹の姉妹を指すところが上代の「いも」と異なる。
( 2 )平安時代には男性側が使う言葉であり、女性が自分の年下の女きょうだいを指して用いた例は見あたらない。
( 3 )おとうと」と男女別の対をなすようになるのは中世以後である。→いもせうと
( 4 )一般的に、「妹」「弟」のような年下の方を表わす語は年上からの呼びかけとしては使わない。名前、あるいはあだ名のようなもので呼ぶのが普通である。逆に、兄弟姉妹の年下は年上に対して、名前そのもので呼びかけはせず、「兄さん」「姉さん」あるいはそれに準じた呼び方、またはあだ名のようなもので呼ぶことが多い。


いむ【妹】

  1. 〘 名詞 〙 「いも(妹)」の上代東国方言。
    1. [初出の実例]「かしこきや命(みこと)(かが)ふり明日(あす)ゆりや草(かえ)が共(むた)寝む伊牟(イム)なしにして」(出典:万葉集(8C後)二〇・四三二一)

いも‐と【妹】

  1. 〘 名詞 〙 「いもうと(妹)」の変化した語。
    1. [初出の実例]「己が妹(イモト)(ひ)之媛(ひめ)を献る」(出典:日本書紀(720)履中即位前(図書寮本訓))
    2. 「嫂はあによめ、妹はいもと、妻はめ、妾は下女ぞ」(出典:史記抄(1477)一一)

も【妹】

  1. 〘 名詞 〙 「いも(妹)」の変化した語。
    1. [初出の実例]「旅とへど真旅になりぬ家の母(モ)が着せし衣に垢つきにかり」(出典:万葉集(8C後)二〇・四三八八)

いも‐ひと【妹】

  1. 〘 名詞 〙いもうと(妹)新撰字鏡(898‐901頃)〕

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普及版 字通 「妹」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 8画

[字音] マイ
[字訓] いもうと・おとめ

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 形声
声符は未(び)。〔説文〕十二下に「女弟なり」とあり、姉には「女兄なり」という。金文に昧爽(まいそう)を妹辰(まいしん)ということがあり、昧の義に借用している。

[訓義]
1. いもうと。
2. おとめ、少女。
3. よめ、つま。
4. 昧と通じ、くらい。

[古辞書の訓]
名義抄〕妹 コジフトメ・イモウト・イロト/小妹 オトイモウト 〔字鏡集〕妹 コジウトメ・イモト・イモウト・ムスメ・カホヨシ

[熟語]
妹丈・妹壻・妹夫・妹妹
[下接語]
阿妹・外妹・帰妹・貴妹・義妹・愚妹・姉妹・従妹・叔妹・女妹・小妹・弟妹・幼妹・令妹

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

デジタル大辞泉プラス 「妹」の解説

①日本のポピュラー音楽。歌はフォークグループ、かぐや姫。作詞:喜多條忠、作曲:南こうせつ。1974年発売。
②1974年公開の日本映画。①をモチーフとする。監督:藤田敏八。出演:秋吉久美子、林隆三、吉田日出子、伊丹十三ほか。

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