始終(読み)シジュウ

デジタル大辞泉 「始終」の意味・読み・例文・類語

し‐じゅう【始終】

[名]
物事の始めと終わり。
「―本末を思考せずして事を起こす者は」〈織田訳・花柳春話
事柄の成り行きの、始めから終わりまでの全部。「事件の始終を語る」「一部始終
始めから終わりまで態度・状態などを変えないで通すこと。また、変わらないで同一になること。
「生民の為に身命犠牲に供し、道義の為に―するに」〈東海散士佳人之奇遇
最後結末
「いかに申すとも―のことはかなふまじ」〈平家・一〉
[副]
絶え間ないさま。頻繁に行われるさま。いつも。しょっちゅう。「始終監視されている」「仕事もせずに始終ぶらぶらしている」
終わりには。結局は。
「寄せ手は大勢なり。城の構へ未だこしらへず、―いかがあるべからん」〈太平記・二九〉
[類語]1いつでもしょっちゅう年中ねんじゅう年がら年中のべつ二六時中四六時中不断日頃ひごろ常日頃つねひごろ常常いつも平生へいぜい平素日常平常通常常時常住行住座臥ぎょうじゅうざが常に絶えず終始ずっと日夜夜昼絶え間ない明け暮れ明けても暮れても寝ても覚めても朝な夕な昼夜をおかず昼夜を分かたず夜を日に継ぐ引き続き綿綿縷縷続続延延長長脈脈続けざま立て続けぶっ続け連綿次次相次いでじゃんじゃんどしどしきびすを接する芋蔓式引きも切らず引っ切り無し我も我も矢継ぎ早畳み掛けるしょっちゅうのべつずるずるべったりのべつ幕無し

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精選版 日本国語大辞典 「始終」の意味・読み・例文・類語

し‐じゅう【始終】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 始めと終わり。
      1. [初出の実例]「如是者、総挙一教之始終」(出典:勝鬘経義疏(611)歎仏真実功徳章)
      2. 「天地無始終、人生有生死」(出典:山陽詩鈔(1833)一・癸丑歳偶作)
      3. [その他の文献]〔史記‐秦始皇本紀〕
    2. 始めから終わりまでの事柄。事の経過。事情
      1. [初出の実例]「其国の大王、迦膩色迦(かにしか)王の御許に行て、此事の始終(しじう)を申に」(出典:今昔物語集(1120頃か)三)
      2. 「ぼつりぼつりとおもひ出すやうに始終(シジフ)を告げしに」(出典:おぼろ夜(1899)〈斎藤緑雨〉)
    3. ( ━する ) 始めから終わりまでいっしょにすること。
      1. [初出の実例]「慎とは朋友と知音せば始終すべきぞ」(出典:足利本論語抄(16C)学而第一)
    4. 行く末。将来。また、終生。生涯。
      1. [初出の実例]「しばらく宿所におき奉れとの給ひつれども、始終よかるべしともおぼえず」(出典:平家物語(13C前)二)
    5. 最後。結末。事の終わり。
      1. [初出の実例]「いかに申すとも始終の事はかなふまじ」(出典:平家物語(13C前)一)
      2. 「わかりもしねえ相場なんぞに手を出せば始終はさうなるのがあたりめえだ」(出典:ゆく年(1928‐29)〈久保田万太郎〉一)
  2. [ 2 ] 〘 副詞 〙
    1. 始めから終わりまで。また、ある動作が頻繁に行なわれるさまを表わす。たえず。常に。
      1. [初出の実例]「伊弉諾、伊弉尊より、百王の今に至るまで、始終(シジウ)神国として」(出典:源平盛衰記(14C前)九)
      2. 「厭味文句を並べて始終肝癪の思入」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一)
    2. 最後には。ついに。結局。
      1. [初出の実例]「たとひ一旦は果報もよく、家をたもてる様なれども、始終あしき也」(出典:正法眼蔵随聞記(1235‐38)四)

はじめ‐おわり‥をはり【始終】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 始めと終わり。もとすえ。あとさき。
    1. [初出の実例]「宇治山の僧きせんはことばかすかにして、はじめをはり、たしかならず」(出典:古今和歌集(905‐914)仮名序)
  3. 始めから終わりまでの事情。一部始終
    1. [初出の実例]「この君の御ゆかり、はじめをはりの事どもを、いろいろ語りければ」(出典:仮名草子・恨の介(1609‐17頃)上)

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普及版 字通 「始終」の読み・字形・画数・意味

【始終】ししゆう

終始。晋・陸機〔魏の武帝を弔ふ文〕夫(そ)れ始物の大歸、死生性命の區域なり。

字通「始」の項目を見る

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