婉曲(読み)えんきょく

精選版 日本国語大辞典 「婉曲」の意味・読み・例文・類語

えん‐きょく ヱン‥【婉曲】

[1] 〘形動〙 表現のしかたが遠回しで、穏やかなさま。角立たないで、やさしく言い表わすさま。
※白石先生手簡(1725頃)九「『徒教隠士』の御作意、婉曲にまいり候て」
明暗(1916)〈夏目漱石〉六九「『そりゃ何(ど)うだかあたしにゃ解(わか)らないわ』叔母は婉曲(ヱンキョク)に自己を表現した」 〔王守仁教条示龍場諸生
[2] 〘名〙 文法で、判断・命令・感動などが、断定的あるいは直接的になるのを避けて語調をやわらげる効果を持つ表現。多くの場合、推量の形をとり、文語では「む」「らむ」「めり」などの推量の助動詞を用いる。

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デジタル大辞泉 「婉曲」の意味・読み・例文・類語

えん‐きょく〔ヱン‐〕【×婉曲】

[形動][文][ナリ]言いまわしが穏やかでかど立たないさま。露骨でなく、遠まわしに言うさま。「申し出を婉曲に断る」「婉曲な表現」
[類語]遠回しほのめかす臭わす持って回る回りくどいマイルドまろやか穏やか穏便穏当紳士的甘美快美当たらず触らず物柔らか曖昧ほどほど控え目ソフト柔らかい柔軟しなやか軟化柔らか軟質軟弱柔いやんわりぼかすぼやかすぼやけるうやむやメロー柔和温厚温和穏健まったり丸いゆるやか

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普及版 字通 「婉曲」の読み・字形・画数・意味

【婉曲】えん(ゑん)きよく

それとなく、おだやかにいう。明・王守仁〔教条、竜場の諸生に示す〕忠して之れを責善するに、其の忠愛を悉(つく)し、其の婉曲を致す。

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