天球上と地球上の2通りの用い方があるが,いずれの場合も,観測者から見た南北の方向を結び,観測者(またはその天頂)をとおる大円のこと。子午線の名の由来は,方向を十二支で表したときの北の方向の〈子〉と南の〈午〉とを結ぶという意味で,同様に東西を結ぶ卯酉(ぼうゆう)線もある。天球上の子午線を天体が東から西へ通過することを南中と呼び,これが天文学的な時刻の基準になる。例えば太陽が南中すれば太陽時の正午であり,赤経α時の恒星が南中したときは恒星時α時となる。これらの観測を行う天文学を子午線天文学と呼ぶ。一方,これらの時刻は地球上の観測場所によって異なっている。そこでどこか基準となる場所を選び,そこの平均太陽時を標準時とすることになる。このような場所を通る経線でとくに地球上のものに対して子午線の呼称が用いられている。例えば旧グリニジ天文台を通る経線を本初子午線と呼び,東経,西経の境界とすると同時に,世界時の基準としている。日本では東経135°の経線を〈日本中央子午線〉と呼び,日本標準時の基準とする。ただし実際にはどちらもその場所で観測するのではなく,世界各地の天文台での観測結果の平均から旧グリニジのあたりに〈平均天文台〉を想定して世界時を決め,それに9時間を加えたものを日本標準時としている。
執筆者:中嶋 浩一
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天球上で、天頂と天の北極を通る大円をいう。これは、地平線と真北・真南で交わる。昔の呼称で、北は子(ね)の方向、南は午(うま)の方向といっていたので子午線とよばれる。同様に、真東・真西と天頂を通る卯酉線(ぼうゆうせん)という大円もある。天球の日周運動によって、天体は1日(正確には1恒星日)に1回子午線を東から西へ通過するが、これを天体の南中とよび、地平からの高度がもっとも大きくなる。子午儀・天頂儀・子午環・写真天頂筒などの望遠鏡は、この南中時に天体を観測して、恒星の位置や惑星の動き、天球に対する地球の姿勢、時刻、地球上の観測点位置などを決定する。これらの研究を「子午線天文学」とよぶ。
また地球上での子午線は、北極点と南極点を通る大円すなわち経線のことであり、ある地点を通る経線をその地点の子午線という。ロンドンのグリニジ天文台を通る経度0度の経線を本初子午線、日本の明石(あかし)(兵庫県)を通る東経135度の経線を日本中央子午線と称する。
[中嶋浩一・市川正巳]
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…1平面上の曲線cを,その平面上の直線lのまわりに回転したときに生ずる曲面を回転面といい,このときできる立体を回転体という。cを母線,lを回転軸といい,回転面をlを含む半平面で切った切口を子午線という。円,二等辺三角形,長方形をそれらの対称軸のまわりに回転したときに生ずる球,直円錐,直円柱は回転体で,その表面は回転面である。…
…球の中心を通る平面が球面と交わってできる円を大円と呼び,この平面に垂直な球の直径を大円の軸,その両端の点を大円の極という(図)。球面上に大円を一つ定めたとき,この大円を赤道,二つの極を北極,南極と呼び,両方の極を通る大円を子午線と呼ぶことがある。球面上に直径の両端でない2点A,Bがあるとき,これらを通る大円がただ一つ定まり,AとBを端点とする大円の弧のうちの小さいほうは球面上でAとBを結ぶ最短の道となる。…
※「子午線」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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