精選版 日本国語大辞典 「学」の意味・読み・例文・類語
まね・ぶ【学】
[1] 〘他バ四〙
① 他の者の言ったことやその口調をそっくりまねて言う。口まねして言う。
※霊異記(810‐824)上「音(こゑ)を訛(よこなま)りて效(マネビ)読む。〈興福寺本訓釈 効 万爾比〉」
② 見たり聞いたりしたことを、そっくり人に語り伝える。
※落窪(10C後)二「世の人に似ず、よをみんにもあらねば、さの給ふ人もあらじ。かかる事なまねび給ひそ」
③ 手本にしてまねる。ならう。まなぶ。
※東大寺諷誦文平安初期点(830頃)「善を見ては殷を学(マネ)ばむと念ひ」
※源氏(1001‐14頃)乙女「ふみのざえをまねぶにも、〈略〉ねたえずおよばぬ所のおほくなむ侍ける」
[2] 〘他バ上二〙 (一)に同じ。
まな・ぶ【学】
[1] 〘他バ五(四)〙 (「まねぶ(学)」と同源)
① ならって行なう。まねてする。
※枕(10C終)四〇「五月に雨の声をまなぶらんもあはれなり」
② 教えを受ける。習う。
※源氏(1001‐14頃)橋姫「年ごろまなびしり給へる事どもの深き心を説き聞かせたてまつり」
③ 学問をする。物事の理を修めきわめる。
[2] 〘他バ上二〙 (主として漢文訓読体に見られる)
① (一)①に同じ。
※名語記(1275)五「人のしわざをまなぶる、まね」
② (一)②に同じ。
※地蔵十輪経元慶七年点(883)「繊毫も錯(あやま)ちて学(マナ)びては升墜の異塗ありといへり」
③ (一)③に同じ。
※書紀(720)敏達元年五月(前田本訓)「汝若し学(おマナフル)ことを愛(この)まざらましかば」
[語誌]→「まねぶ(学)」の語誌
がく【学】
〘名〙
① まなぶこと。教えを受けること。また、勉強して得た知識。学問。
※続日本紀‐養老二年(718)一〇月庚午「冝下随二性分一皆令上レ就レ学」
② ある原理に従って組織された知識の体系。
※物理学と感覚(1917)〈寺田寅彦〉「元来何物かの仮定なしに学が成立し難いものとすれば」
③ 仏語。戒定慧(かいじょうえ)の三学を学修すること。有学(うがく)のこと。四向四果のうちの四向三果で、最後の阿羅漢果を無学という。〔大智度論‐一八〕
まなび【学】
〘名〙 (動詞「まなぶ(学)」の連用形の名詞化)
① まね。
※平治(1220頃か)上「御まなびをたがはず申ける也」
② まねごと。本式ではなく形ばかりに行なうこと。
※浄瑠璃・伽羅先代萩(1785)八「心ばかりの祝儀のまなび、三方土器取持て」
③ 訓練。練習。
※日葡辞書(1603‐04)「ゼンノ manabiuo(マナビヲ) スル」
④ 学問。
※古道大意(1813)上「ちょこざいな学びを為て、人に勧める者もあり」
がく‐・す【学】
〘他サ変〙 まなぶ。
※今昔(1120頃か)三「又比丘として諸の弟子を随へて法を学せしに依て今の道を得也」
※増鏡(1368‐76頃)一二「密宗をぞがくせさせ給ける」
まねび【学】
〘名〙 (動詞「まねぶ(学)」の連用形の名詞化) まねをすること。まねて言うこと。
※東大寺諷誦文平安初期点(830頃)「邯鄲の雀、鸚鵡の行(マネひ)を仕へ奉る」
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