精選版 日本国語大辞典 「宇宙船」の意味・読み・例文・類語
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宇宙機のなかで、とくに人の乗るものをいう。宇宙船の最初は、1961年4月12日のウォストーク(ボストーク)1号であり、搭乗者はソ連のガガーリン、近地点181キロメートル、遠地点327キロメートルの楕円(だえん)軌道を描き、1時間48分の所要時間で地球を1周した。その後ソ連、アメリカから多くの宇宙船が打ち上げられ、大気圏外を飛行した。
宇宙船はその基本的な条件として、第一に、人間の生命が維持される環境が確保されていなければならないし、第二に、無事に回収される対策ができていなければならない。第一の環境問題について、生命の保持に不可欠な酸素に関しては、アメリカとソ連とでは異なった考え方をもっていた。アメリカは、空気中の窒素は呼吸には不必要とみなし、酸素だけですむとした。しかし純粋に酸素だけでは発火の危険があるので、アポロ宇宙船では酸素を3分の1気圧とした。これによって搭載重量は減少できるし、内部の圧力の減少のために耐圧の問題も楽になるのである。これに対しソ連は、使用するロケットの推進能力に余裕があったためであろうが、空気と同じ成分のものを1気圧で使う方針をとった。また、呼気に含まれる二酸化炭素の除去も重要である。それには、二酸化炭素を吸収する物質(ゼオライトが多く用いられる)を用意し、二酸化炭素を吸収させては、それを船外に放出させることを繰り返す。そのほか、温度や湿度なども適当な範囲内に調整しておかなければならない。したがって宇宙船は、居住区と機械室ならびに推進装置室とに分けてつくられる。なおアメリカとロシアの共同のアポロ・ソユーズ(ドッキング)テスト計画(ASTP)、スペースシャトル計画および国際宇宙ステーションでの居住区については、地球表面上の1気圧と同様の環境維持が行われている。
第二の回収について、その作業は、まず居住区を他の部分から切り離し、そこに設けてある逆噴射ロケットで減速して着陸降下経路に入れ、地球大気へ再突入させる。超高速で、しだいに濃密となる大気に減速しながら突入して行くので、衝撃波が発生し、高速飛行体の周辺、とくにその前面は2000℃を超す高温となる。居住区をその熱から守るために、耐熱材を厚く張ったり、その表面にプラスチックを混入してそこを融けやすくし、それによって熱を吸収し放熱するなどのくふうがなされた。これを融除法(アブレーション)方式という。今後の宇宙船の主力となるスペースシャトルでは、回収を数十回にわたって行うために、新しくセラミックの耐熱材を開発し、そのタイルを機体表面に張るなどの熱防御システム(TPS)が使用されている。
スペースシャトルの出現によって、同一の宇宙船(オービタ、OV)を何回も往復させて宇宙空間で大型の国際宇宙ステーションを組み立て、運用できるようになった。
[新羅一郎・久保園晃]
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…遠心力は赤道上でもっとも大きくなるが,そこにおいてさえ地球引力の1/290にすぎないから,重力のほとんどは地球の引力である。宇宙船がエンジンを作動しない状態で飛行を続けているときは,特定惑星を中心とする求心運動を行っており,この場合,惑星引力と宇宙船運動による遠心力はつり合っている。地球周回運動をする宇宙船では地球引力と遠心力がつり合っており,地球引力圏を脱出して火星などの惑星に向かう宇宙船では太陽引力と遠心力がつり合っている。…
※「宇宙船」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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