精選版 日本国語大辞典 「宇宙」の意味・読み・例文・類語
う‐ちゅう ‥チウ【宇宙】
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宇宙ということばは、人々の世界観としての「宇宙」という用いられ方をするときには、この世に存在するすべての物質、空間、時間を包括している。一方、人々の経験や観測によって科学的に認識される「宇宙」がある。しかしその宇宙に関する知識はつねに限られたものである。そして人々はその時代の限られた科学的知識では満足せず、未知の部分に想像をめぐらせ、一つのまとまりある宇宙像を描き、それを世界観としてきた。それらは各時代、各民族の社会的・文化的風潮を色濃く反映したものである。
近代科学の興隆以降、宇宙に関する科学的知識は著しく増大したが、宇宙論のもつ前述のような性格は現代でも変わっていない。したがって、われわれが宇宙に関して考え、検討する場合、現段階の科学的宇宙論と森羅万象に対する世界観としての宇宙論(科学的知識と想像とが混合したもの)との区別をよくわきまえておく必要がある。
この項では、膨張宇宙論あるいはビッグ・バン宇宙論とよばれる現代の物理学を基礎にした宇宙像に関して考察する。なお、古代からの宇宙観の変遷については、別項「宇宙論」を参照されたい。
[佐藤文隆]
中世ヨーロッパまでの宇宙観は、それに先だつギリシアにおいて集大成された宇宙であった。それは、太陽と惑星の規則的な運行を理解するための「天」の模型として描かれ、地球を中心にして天球と周天円からなる有限の宇宙であり、天と地とは絶対的に区別された。16世紀なかば、天体運行の規則性をめぐって提起されたコペルニクスの太陽中心模型は、17世紀から18世紀にかけて、ガリレイ、ニュートンによる天体の運動を地上の運動法則と同一の法則で記述するという近代科学の幕開きへと発展し、ここで天と地の絶対的区別は取り去られた。こうして、太陽を中心に惑星が回転している太陽系が人々に認識された。また同時に、恒星に対する関心も強まり、人々の視野は、その広がりが数万分の1光年にすぎない太陽系から、数光年ないし数百光年という恒星界へと拡大した。18世紀末にF・W・ハーシェルらによって始められた恒星界の研究と観測の進歩のなかで、広大な宇宙空間には、われわれが属する銀河系と同じような銀河が無数に散在するという宇宙像が描けるようになった。
[佐藤文隆]
広大な宇宙に散在する銀河までの距離を実際に測定し、銀河系外空間の広さがわかるようになったのは、20世紀に入ってからのことであった(
)。遠方の銀河の距離が測定可能となってまもなく、1929年ハッブルは膨張する宇宙を発見した。銀河からの光のスペクトル線の赤方偏移(ドップラー効果で光の波長が長くなること)の観測から、遠方の銀河は、その距離に比例する速度でわれわれから後退していることがみいだされたのである。そして1965年にはアメリカの2人の物理学者ペンジアスとR・W・ウィルソンが、天空から等方的に入射するマイクロ波を観測、これにより過去の宇宙は宇宙マイクロ波背景放射Cosmic Microwave Background Radiation(CMB。宇宙背景放射、宇宙黒体放射ともいう)が満ちており、高密度であったことが直接的に確認された。[佐藤文隆]
この膨張宇宙と宇宙マイクロ波背景放射という二つの観測上の発見に基づいて描かれる現代の宇宙像が、膨張宇宙論、あるいはビッグ・バン(大爆発)宇宙論とよばれるものである。
この宇宙論によれば、現在のこの宇宙は138億年前から膨張を続けている。われわれはこの膨張する巨大な系の限界をみいだしていない。われわれは膨張する系の中にいて膨張を認識しているのであり、膨張宇宙を一つの有限な大きさをもつ天体のように考えるのは適当ではない。現在の宇宙の大きさは不明であるが、われわれが科学的に認識している宇宙とは1000億個以上の銀河を含む100億光年の空間的広がりをもち、過去100億年間にわたる時間の範囲内では膨張し続ける宇宙である。さらにこの空間の領域では宇宙はほぼ一様である。「宇宙には特別の場所がなく一様である」という仮定を「宇宙原理」という。
現代の宇宙論はこの膨張宇宙の構造と進化とを解明し、その起源に迫ろうとしているのである。
[佐藤文隆]
広大な宇宙空間に、銀河は平均して約100万光年の距離を置いてほぼ一様に分布する。銀河の小集団が存在するため完全に一様ではないが、100億光年という宇宙全体の構造を考える場合、無視してもよいばらつきにすぎない。したがってこの宇宙には、中心や境界などという区別はまったくない。どの場所も対等な位置を占めていることになる。
銀河は互いに静止した状態にはなく、100万光年より近くの銀河は近傍の銀河の重力を受けて、平均秒速数百キロメートルの速度で、一見無秩序に運動している。ところが、より遠方の銀河は、このような無秩序運動に加えて、われわれの銀河系から後退している。その後退する方向の速度成分は、v=H0Rで表される「ハッブルの膨張則」に従って増大している。ここでRは、速度vで後退している銀河までの距離、H0はハッブル定数である。ハッブル定数H0は、2000年代初頭までの観測では71km/sec・Mpcである(1Mpc=100万pc、1pc=3.26光年)。後退速度が光速になると、それより遠方の領域は観測不能になる。この限界を「宇宙の地平線」とよぶが、その距離はc/H0~100億光年(cは光速)のオーダーになる(
、 )。後退速度はスペクトル線のドップラー効果によって測定される。本来の波長がλ0であるスペクトル線が、観測者には波長λ(ラムダ)でとらえられるとき、この波長のずれの相対的な大きさをzで表すと、z=(λ-λ0)/λ0となる。zを赤方偏移とよぶ。zの大きい銀河ほど遠方にあると考えてよい。観測されたzの上限値は、ハッブルが発見した当時はz=0.01程度であったが、2010年までの観測では銀河や準星(クエーサー)のzはz=8.6に近いものまで発見されている。
[佐藤文隆]
ハッブルの膨張則を得るには、銀河の距離測定が必要であるが、これは比較的近傍に存在する特別な銀河については可能である。多くの場合に得られるデータは、zと見かけの光度である。この場合でも、もし遠方の銀河の絶対光度が既知であれば、見かけの光度から距離が推定できる。一様宇宙モデルの観点からすれば、遠方の銀河も近傍の銀河も平均的には同種のものである。
しかしここで宇宙の進化効果に注意しなければならない。たとえば50億光年遠方の銀河の姿は、いまから50億年以前の姿である。したがってそれと比較すべきものは、われわれの近傍にある銀河の姿ではなく、50億年以前の姿である。
もちろん近傍の銀河を観測した場合でも、それは100万年とか1000万年以前の姿であるが、この程度の時間の違いは、銀河の進化の時間的スケールからみれば瞬時に等しく、無視することができる。しかし、後述するように、膨張宇宙はいまから137億年過去に始まったと考えられる。銀河はそれ以後にできたものであり、誕生したばかりの銀河の姿が今日のものと違っていることはありうる。したがって非常に遠方の銀河に対しては、進化効果の補正をしなければ距離の推定はできない。原理的には、進化効果を観測することによって、われわれの近傍の銀河系の過去の姿を知ることもできる。しかし今日そのようなことは実現していない。
[佐藤文隆]
1929年にハッブルが発見した膨張宇宙については、以前から理論がいくつか提案されていた。代表的な理論はアインシュタインの一般相対性理論によるものである。
ハッブルの発見に先だつ1917年、アインシュタインはその前年に定式化した一般相対性理論による宇宙論を発表した。これはアインシュタイン静止宇宙とよばれる一様静止宇宙のモデルであるが、彼はこの解を得るために、普遍的な斥力(せきりょく)を与える「宇宙項(宇宙定数)」を重力場方程式に付け加えた。同年オランダのド・ジッターは、物質のない、つまり密度0の宇宙モデル(ド・ジッター宇宙)を得た。1922年ロシアのA・A・フリードマンは、物質と宇宙項を含むアインシュタインの宇宙モデルを考察し、正曲率であれば、いったん膨張し、その後収縮すると指摘した。宇宙はつねに膨張か収縮の動的な状態でなくてはならないことが証明された。1927年ベルギーのA・G・E・ルメートルは、フリードマンの研究を知らずに同じような結論に達した。
これらはいずれもハッブルの発見以前であり、ハッブルの発見により、膨張宇宙論は確立した。
ここに一般相対性理論による膨張宇宙の構造について検討してゆく。
[佐藤文隆]
われわれは通常、物理的な空間としてはユークリッド幾何学が成立する空間のみを考えるが、一般相対性理論では、空間の性質は物質の存在によって変化を受ける、とする。空間の性質が変わるということは、ユークリッド幾何学の成立しない非ユークリッド空間まで物理空間の枠を広げることを意味する。たとえば、三次元空間のかわりに二次元空間で考えると、
のbのようなユークリッド幾何学の成立する平面のかわりに、aやcのような曲面を考えることに対応する。[佐藤文隆]
一般相対性理論に基づいて宇宙を考えるときの宇宙モデルとしては、前述した一様宇宙モデルをとる。宇宙が一様であるということは、宇宙はどこでも同等であり、中心などはないということであり、一様に物質が存在する空間は、一様に曲がった空間となる。
ここでさらに、その空間が等方的である、と仮定する。このことは、宇宙には特別の方向はなく、どの方向をみても同じようなようすがみられるはずだ、ということである。
[佐藤文隆]
あらゆる場所で同じように、かつ等方的に曲がった空間のタイプは
のように三つに分類される。Aは正の曲率をもつ空間で、全体積が有限になる。このような空間は「閉じた」空間とよばれる。他のBとCでは空間の体積は無限大になり、「開いた」空間とよばれる。以上のような三つのタイプが「宇宙原理」を満たす空間としてありうる。
[佐藤文隆]
ある時刻における三次元空間の曲率半径の値およびその時間的変化を決める法則が一般相対性理論である。一様等方の空間を特徴づける量は曲率半径の大きさaだけであるが、これは一般には時間的に変化する。aが時間的に増加している空間が膨張宇宙を記述することになる。一般相対性理論から結論されるaの変化は、
の空間のタイプとエネルギー密度により決まる( )。ここで注意すべき点は、どのタイプでもa=0から始まることである。平均物質密度はa3に逆比例して変化するため、膨張の出発点での密度は無限大であったことになる。また、膨張宇宙がその時点から有限時間の過去に始まったという、重要な結論を導く。この結論はたとえ空間の等方性を仮定しなくても、一様性を満たす場合には同じように結論される。[佐藤文隆]
以上に述べてきた一様等方な宇宙モデルのより詳しい性質を数式を用いてみてみよう。
四次元空間の線素は、
となる。ここでr、θ、は三次元空間での球座標である。kは三次元空間の曲率の符号を表すもので、曲率の正、0、負に対応して、おのおの1、0、-1の値をとる。一様物質密度をρ(t)とすればa(t)の時間変化を決める式は、宇宙項(宇宙定数)を含むアインシュタインの重力場方程式によって
となる。Gはニュートンの重力定数、λは宇宙項である。k=0の場合には曲率半径は無限大であるからaの絶対値そのものには意味がないが、膨張のスケールを与える量として同じaを用いる。なおk=0、λ=0のときには、aはt2/3に比例する。
現在(t=t0)における膨張運動を特徴づける量としては
を用いる。H0は先に述べたハッブル定数にあたる。q0は、宇宙膨張が重力で減速されるその大きさを表す量で、減速係数とよばれる。(2)、(3)式から次の関係式が得られる。
これらの関係式は、H0およびq0という膨張運動に関する量と、平均密度ρ0および曲率半径a0の関係を与えている。また、膨張開始から現在までの時間t0との関係も得られる。2000年ころの観測値はH0≃71km/s・Mpc、q0≃-0.6、k≃0である。これをもとに膨張の式でのλとt0の効果の比率をあたえると、aの過去と未来の変化が計算できる。 はこの様子を示す。
以上に述べた宇宙モデルはフリードマン宇宙である。またとくにk=0の場合はアインシュタイン‐ド・ジッター宇宙ともよばれる。宇宙項λを含む方程式に拡張すると、アインシュタイン静止宇宙、ド・ジッター宇宙、ルメートル宇宙など種々の宇宙モデルが得られる。
[佐藤文隆]
一様等方宇宙モデルに限っても前述のように幾種類もの宇宙モデルが可能である。それを決めるのは膨張宇宙の観測である。
どの宇宙モデルに関しても膨張については同じハッブルの膨張則を与える。したがって、いずれかのモデルを選択するためには、H0(ハッブル定数)のほかに、もう一つの量を観測から知る必要がある。その観測量には、q0(減速係数)、あるいはH0とq0にかわる量としてのλ(宇宙項)、ρ0(宇宙の平均密度)、a0(曲率半径)およびt0(膨張開始後、現在までの時間)がある。λはρλ≡λ/8πGとしてエネルギー密度とみなすこともできる。これらがわかれば、宇宙がどのモデルに対応しているかの解答が得られる。
観測で重要なのは赤方偏移と距離の関係である。時刻t1で放出された光が現在t0にとらえられたとする。このとき赤方偏移zはそれぞれの時刻での膨張係数aの値を用いて次のように与えられる。
したがって、たとえばz=5の銀河を観測したということは、現在よりも宇宙が小さく、6分の1であった時代のことを見ていることになる。
以下に、観測の現状を述べる。
[佐藤文隆]
q0係数を決める方法としては、超新星のように明るさの知られた遠方の天体の見かけの明るさ(等級)と赤方偏移との関係から求める方法がある。遠方の天体の見かけの明るさmと赤方偏移zとの関係は、
のように、zが小さいところではq0の値によらないが、zが大きいとq0の値によって分岐してくる。したがってmとzの観測値がいかなる曲線を描くかをみれば、原理的にq0を決定できることになる。2000年ごろ、q0は負である、すなわちλのゆえに膨張は加速されているという観測が発表された。[佐藤文隆]
遠方の標準光源天体の距離と赤方偏移の測定から、現在の膨張の速度と加速度がわかる。ここで一般相対論による宇宙膨張の式が正しいとすれば、全エネルギー密度が計算できる。しかし、その組成はこの観測からだけではわからない。組成の情報を与えてくれるのが、物質の密度ゆらぎの成長と音波振動である。ここで物質とは重力により凝縮するものであるが、これには宇宙黒体放射と電磁的に結合していたバリオン物質(これが原子をつくる普通の原子物質)と電磁的な作用をしないダークマターの2種類が含まれる。そして、これらの比率は「宇宙の晴れ上がり時期」(「物質の起源」の章参照)におこっているバリオン物質の音波振動の観測でわかるが、これがCMBの小角度の強度ゆらぎの観測で発見された。2003年に発表された観測衛星WMAP(ダブリューマップ)のデータは加速膨張の天文観測のデータとあわせて新しい宇宙の姿を明確にした。
この結果、現在の密度は、ダークエネルギー70%、ダークマター25%、バリオン物質5%の組成であることがわかった。ここで、ダークエネルギーとは加速膨張を引き起こしている宇宙項に当たるものだが、これが時間的に変化するものかどうかが不明であるために、一定値とする宇宙項そのものかどうかはわからないため、新しい名前でよばれているのである。ダークマターの存在は銀河系のハロー(渦状銀河の円盤を取り囲む球形の領域)や銀河団の力学的考察から示唆されていたものであり、CMBによる音波振動の観測はそれを新たな側面から裏づけたものである。
[佐藤文隆]
空間の性質がユークリッド幾何学からずれていることを直接みいだす方法が考えられる。その一つとして、観測者を中心とした半径r内の体積は、ユークリッド幾何学では4πr3/3であるが、正曲率空間ではこれより小さく、負曲率空間ではこれより大きくなる。銀河の密度が一定であるとすれば、体積は銀河の個数に比例するため、距離とともに、その距離内に含まれる銀河の個数の変化を調べれば、幾何学の違いが原理的には判別できる。
もう一つの試みは、銀河の大きさを視角で測ったとき、その値が距離とともにどのように変化するかを調べる方法である。膨張のないユークリッド空間では、視角は単調に減少するはずである。しかし膨張宇宙では、ある距離より遠い銀河の視角は、距離とともに増加するという奇妙なことになる。ただし、いずれの方法でもまだ観測的に曲率を測定することに成功していない。ただし曲率ゼロでも空間が閉じているか開いているかは別問題で、閉じている可能性もある。
[佐藤文隆]
ウランのような半減期の長い放射性元素を用いた年代測定によると、太陽系の年齢は約46億年、これよりやや不確かであるが、地球が属する銀河系の年齢は約100億年となる。またHR図の観測と恒星進化の理論を用いると、年齢が約100億年にも達する球状星団も発見されている。これらはすべて膨張開始後、現在までの時間t0の下限値を与えるものである。
[佐藤文隆]
遠方の超新星、年齢、それに後述のCMBの小スケールゆらぎなどの観測値を総合して次の値が最適とされている(2012年時点)。年齢は137億年、全エネルギー密度は宇宙項によるもの73%、ダークマター23%、原子物質4%である。また空間曲率はゼロ、すなわちk=0である。
[佐藤文隆]
膨張空間の考えに従えば、初期においては高密度のために銀河系や星は存在しえなかったはずである。すなわち、こうした天体はすべてある時期以後に形成が可能になったものと考えられる。こうした進化宇宙論に対立する考え方として定常宇宙論がある。後者の説では、宇宙の平均密度は膨張にもかかわらず一定であり、宇宙の姿は平均的に定常であると考える。そしてこれを保障するために、膨張により密度が減少する分だけ物質を創生するという未知の機構を仮定する。
[佐藤文隆]
1950年代から宇宙進化に関するこの二つの説の間で種々の論議がなされていたが、1965年に宇宙マイクロ波背景放射が発見され、これによってビッグ・バンが確認されて進化宇宙論の正しさがほぼ実証されることになった。この発見の契機は、マイクロ波を用いる人工衛星を用いたテレビ中継用のアンテナにいつも一定のノイズが残ることがみいだされたことによる。そしてこの原因が、宇宙から等方的にやってくる放射であることが確認されたのである。この放射エネルギー分布は絶対温度で約3度(3K)の黒体放射の分布とよく一致している。この放射は宇宙マイクロ波背景放射(CMB)とよばれる。その後1992年、観測衛星COBE(コービー)の観測で温度は2.7Kであること、および10万分の1程度の強度ゆらぎがあることを発見した。
この放射の起源は、進化宇宙の立場から次のように理解される。現在は遠方の銀河でも見通せることからも明らかなように、宇宙は光に対して十分透明な状態にある。しかし膨張宇宙の初期は密度が高く、光が自由に透過できないような不透明な状態に宇宙全体があったはずであり、それが「晴れ上がって」現在のようになったのである。膨張宇宙の初期では、物質からの放射放出と、それによる吸収とは平衡状態にあり、物質の温度に対応した黒体放射によって宇宙は一様に満たされていたことになる。CMBとは、このような過去の黒体放射の光が赤方偏移したものである。
[佐藤文隆]
宇宙マイクロ波背景放射の温度が測定されたことによって、宇宙の過去における宇宙物質の温度の変遷が推定できるようになる。
には、膨張に伴う宇宙の密度と温度の変化のようすを示した。宇宙の状態はこの図の右上(高温・高密度)から左下(低温・低密度)に向かって進化してきたことになる。この図からもわかるように右上の部分は非常に速く、左下に移行するにつれてゆっくりと進む。[佐藤文隆]
には、さらに過去からの膨張宇宙でおこるできごとの年表を示した。宇宙の時代を指定する量としては、ビッグ・バン以来の時間・温度のほかに、現在の宇宙に比べてどれだけ収縮した状態にあったかの収縮率も示した。宇宙空間が過去に収縮していたということは、現在観測される100億光年の空間もかつてはこの収縮率だけ小さかったことを意味する。たとえば、 の「バリオン数生成」の時代には、現在の100億光年の空間が1センチメートルという小さな空間に収縮していたことになる。
[佐藤文隆]
1970年代末に確立した素粒子相互作用の標準理論によれば、素粒子が励起されていない真空状態を決めている真空場(ヒッグス場)の存在が明らかになった。この考え方を拡張して、ヒッグス場でないさまざまな真空場を仮定し、宇宙膨張の起源論に挑戦しているのがインフレーション説である。この説によると、真空場だけの時期に宇宙空間が指数関数的に膨張し、巨大な宇宙空間、巨大なエネルギーが形成され、その後の真空相転移の潜熱によって、高温のさまざまな素粒子が黒体放射として励起された、となる。さらに、原始的な密度ゆらぎの原因を量子論的なゆらぎで説明できると考えられている。しかしインフレーション説は素粒子標準理論を超えた理論に基礎を置くため、そこが定まらない現段階では具体的なシナリオはまだ明確ではない。
[佐藤文隆]
初期の宇宙は高温・高密度の状態にあり、物質の姿は現在のものと大きく違っていた。現在の宇宙では放射エネルギーより物質の静止エネルギーのほうが大きいが、初期は放射エネルギーが支配的であった。その時期の放射の温度は、膨張開始後の時間をt秒とすると、T=1010t-1/2Kで与えられる。tが1秒では100億Kであり、光子の平均エネルギーは約1メガ電子ボルト(MeV)となり、γ(ガンマ)線が宇宙を満たしていたことになる。これより以前ではより高温であり、原子核などはすべて溶けてしまうので存在しえない。さらに温度が102MeV以上になると、陽子・中性子といった核子も溶かされて、その構成要素であるクォークはばらばらになっていたと考えられる。このように初期には今日の素粒子の一部も存在しえなかった。現在の物質も宇宙進化のなかで形成されてきたものである。以下に、その経過を概観してみる。
[佐藤文隆]
温度が1019ギガ電子ボルト(GeV)の時期以前では、時間・空間の枠組み自体が今日のそれと違っていたと考えられるが、この時期以後では膨張宇宙となった。宇宙誕生初期では粒子と反粒子の数は等しかった。しかし現在の宇宙には反物質で構成される天体はなく、バリオンと反バリオンについて非対称になっている。バリオン(重粒子)とは陽子、中性子などのことである。温度が102MeVに下がったとき、クォーク、反クォークはバリオンと反バリオンに変わるが、もしそれらの数が等しければ陽子と反陽子の存在量も等しくなり、現在の宇宙の姿は説明できなくなる。しかし1015GeVの時代にクォークと反クォーク数の間に、比にして100億分の1程度の差が生ずるできごとがおこる。もしこの差が生じなければ、物質と反物質が消滅しあって、天体などをつくる物質がまったく存在しなかったことになる。物質の起源にとってバリオン数あるいはレプトン数の生成は重要なできごとである。
温度が102MeVまで下がるとクォークが核子(陽子、中性子)と反核子になり、20MeVで対消滅がおこり、バリオン数の分だけ核子が残り、反核子は完全に姿を消してしまう。温度が1MeVのあたりでニュートリノ(中性微子)が物質と作用しなくなり、その後まもなく電子対も消滅して、陽子と等量の電子だけが残る。この時期以後から原子核が存在しえるようになる。陽子と中性子が結合して重水素(ジュウテリウム)をつくり、それからヘリウムが形成される核反応が続く。この核融合反応によって核子の約10%がヘリウムになり、約3分後にはこの核融合は終わる。現在の宇宙に存在するヘリウムや重水素はこのときに形成されたものと考えられる。それ以上の重い元素は星の進化・爆発により、のちにつくられる。
[佐藤文隆]
温度が4000K、時間が約38万年後の段階で、それまでイオン化していた原子が中性化する。このため、それまで物質と黒体放射の相互作用を仲介していた自由電子が消滅し、黒体放射は自由に伝播(でんぱ)することになる。それが現在観測されるCMBである。たとえていえば、それまで曇っていた宇宙が「晴れ上がる」のである。これ以後では宇宙全体としての熱平衡は成立せず、場所によって異なる温度をとれるようになる。観測される宇宙黒体が約10-5の精度で等方的なのは、「晴れ上がる」時期での温度がきわめて一様であった証拠である。
[佐藤文隆]
現在の宇宙の構造は、1億光年以上の大きなスケールで平均してみるとほぼ一様であるが、それ以下のスケールでみると天体が形成されていて凹凸の密度分布をしている。こうした天体構造は、宇宙の初期に存在した小さな密度のゆらぎが引き金となって、「晴れ上がり」の時期よりもあとに形成されてきたものである。原始的なゆらぎはCMBのゆらぎからわかるが、まず1992年に宇宙背景放射観測衛星COBEの観測で、10-5のゆらぎが発見された。その後2002年ごろまでに小さい角度でのゆらぎの観測が、宇宙(マイクロ波)背景放射観測衛星WMAPでなされ、宇宙モデルの決定にも大きな役割を果たした。
[佐藤文隆]
もしニュートリノが10eV以上の質量をもてば、それらがまず超銀河団(銀河を数千個含む集団)を形成し、その中で核子物質が個々の銀河に分裂していくと考えられる。これにより、銀河の集団に含まれる「見えない質量(ダークマター、暗黒物質)」がニュートリノの質量から説明できる。これらのニュートリノはかつて黒体放射と熱平衡にあったもので、その密度も現在では1立方センチメートル当り102個と大きく、黒体放射光子の密度1立方センチメートル当り400個に匹敵する。このためニュートリノの質量が小さくても核子に比べて数が多く、全体としては大きな質量となるのである。
[佐藤文隆]
核子物質は「晴れ上がり」の時期まで光の大圧力を受けているため収縮はできないが、その時期以後では太陽の100万倍より重いものは収縮できる。これらのガス雲がさらに集団をつくり、互いに付着して大きなガス雲に成長する。もし回転があれば円盤状に進化していく。ガス雲中では星の形成が始まり、また回転円盤は渦巻状の外観を呈するようになる。
このようにして宇宙のあちこちにエネルギーを生成する天体が形成されてくる。エネルギー形成の機構としては、星での核融合反応のほか、ブラック・ホールの重力エネルギーによるものもあるであろう。こうしたエネルギーを放出する天体は、宇宙の大きさが今日の10分の1であった時期以降でのみ存在し、その初期ではクエーサーが主だったかもしれない。
[佐藤文隆]
星の形成がスタートした銀河では、元素の形成と星間ガスの減少という老化現象が進行する。これに伴って重元素が増加し、白色矮星(わいせい)、中性子星、ブラック・ホールなどの死んだ星が増大する。このように銀河は老化の一途をたどり、ついには活性を失った銀河に行き着くと考えられるが、現在の銀河はまだ十分老化しきっていない。このことは、われわれが膨張宇宙の始まりからまだ十分な時間を経ていない時代に居合わせていることを意味する。宇宙の姿という場合、われわれは現状を固定して考えてはいけない。宇宙は進化しつつあり、現在はその一こまにしかすぎない。かつては銀河や星も存在しない宇宙があったし、将来においてはふたたび星や銀河のない状態になるのである。
膨張がいつまでも続けば、天体はばらばらになり、さらにすべての核子も他の素粒子に崩壊する可能性があり、物質も原始の姿に戻ると考えられる。
[佐藤文隆]
『C・ブラッカー、M・ローウェ編、矢島祐利・矢島文夫訳『古代の宇宙論』(1976・海鳴社)』▽『ローリー・H・ジョーン編、小尾信彌・武部尚雄訳『現代の宇宙論』(1977・海鳴社)』▽『P・C・W・デイヴィス著、戸田盛和・田中裕訳『宇宙における時間と空間』(1980・岩波書店)』▽『堀源一郎著『相対性理論で宇宙をみる』(1981・日本放送出版協会)』▽『佐藤文隆著『ビッグバンの発見――宇宙論入門』(1983・日本放送出版協会)』▽『J・シャロン著、中山茂訳『宇宙論の歩み』(1983・平凡社)』▽『佐藤文隆著『ビッグバン――こうして宇宙は生まれた』(1984・講談社)』▽『ロバート・ジャストロウ著、趙慶哲訳『だれが宇宙を創ったか――はじめて学ぶ人のための宇宙論』(1986・講談社)』▽『堀源一郎著『宇宙はどこまで広がっているか』(1986・岩波書店)』▽『E・ローゼン、L・モッツ著、菊池潤・杉山聖一郎訳『宇宙論全史』(1987・平凡社)』▽『成相秀一・冨田憲二著『一般相対論的宇宙論』(1988・裳華房)』▽『佐藤文隆著『宇宙のはじまり』(1989・岩波書店)』▽『桜井邦朋著『アインシュタインが見た宇宙――相対論的宇宙論への道』(1989・白揚社)』▽『方励之・李淑嫺著、佐藤文隆・青木薫訳『方励之が語る宇宙のはじまり――最初に何が起こったか?』(1990・講談社)』▽『小平桂一編『新しい宇宙像の探究』(1990・岩波書店)』▽『小玉英雄著『相対論的宇宙論』(1991・丸善)』▽『ミッチ・ストラブル著、向井忠亮・杉元賢治訳『相対性理論の宇宙――空間・時間・アインシュタイン』(1991・白揚社)』▽『梅村雅之・吉岡諭編『スーパーコンピューターが解き明かす宇宙の進化』(1991・恒星社厚生閣)』▽『バリー・パーカー著、並木雅俊訳『ダークマター――宇宙のミステリー』(1991・丸善)』▽『小玉英雄著『宇宙のダークマター――暗黒物質と宇宙論の展開』(1991・サイエンス社)』▽『リチャード・モリス著、松浦俊輔訳『越境する宇宙論――科学の極限』(1991・青土社)』▽『佐藤勝彦・木幡赳士著『ビッグバン理論からインフレーション宇宙へ――宇宙は急激に膨張したあと、ビッグバン宇宙になった!』(1991・徳間書店)』▽『野本陽代著『宇宙はどこまで見えてきたか――謎だらけの宇宙論』(1992・岩波書店)』▽『ティモシー・フェリス著、野本陽代訳『銀河の時代――宇宙論博物誌』上下(1992・工作舎)』▽『アラン・ライトマン著、はやしはじめ訳『宇宙は語りつくされたか?――アインシュタインからホーキングへ』(1992・白揚社)』▽『佐藤文隆・松田卓也著『相対論的宇宙論――ブラックホール・宇宙・超宇宙』(1992・講談社)』▽『ジョン・グリビン、マーティン・リース著、佐藤文隆・佐藤桂子訳『宇宙の暗闇・ダークマター――暗黒物質が解く宇宙進化の謎』(1992・講談社)』▽『須藤靖著『ダークマターと銀河宇宙』(1993・丸善)』▽『佐藤勝彦著『最新・宇宙創世記――インフレーション宇宙から観測の時代へ』(1993・徳間書店)』▽『ジョン・ボスロウ著、青木薫訳『ビッグバン危うし――宇宙論、はじめての危機』(1993・講談社)』▽『エヴリー・シャツマン著、坂井光夫訳『宇宙の膨張』(1993・丸善)』▽『横山順一著『宇宙創生をさぐる――インフレーション宇宙への招待』(1994・丸善)』▽『M・リオーダン、D・N・シュラム著、青木薫訳『宇宙創造とダークマター――素粒子物理からみた宇宙論』(1994・吉岡書店)』▽『マイケル・D・ルモニック著、小林健一郎訳『宇宙論の危機――新しい観測事実に揺れる現代宇宙論の最前線』(1994・講談社)』▽『マイケル・ロワン・ロビンソン著、池内了訳『宇宙のさざなみ――最新宇宙論の舞台裏』(1995・シュプリンガー・フェアラーク東京)』▽『ジョージ・スムート、ケイ・デイヴィッドソン著、林一訳『宇宙のしわ――宇宙形成の「種」を求めて』下(1995・草思社)』▽『ジョン・バロウ著、松田卓也訳『宇宙が始まるとき』(1996・草思社)』▽『ジョセフ・シルク著、戎崎俊一訳『宇宙創世記――ビッグバン・ゆらぎ・暗黒物質』(1996・東京化学同人)』▽『ドナルド・ゴールドスミス著、松浦俊輔訳『宇宙の正体――アインシュタインの大いなるミス?』(1997・青土社)』▽『竹内均監修『ブラックホール宇宙――解き明かされる時空のなぞ』(1997・ニュートンプレス)』▽『池内了著『観測的宇宙論』(1997・東京大学出版会)』▽『二間瀬敏史著『なっとくする宇宙論』(1998・講談社)』▽『池内了著『宇宙論のすべて』(1998・新書館)』▽『科学朝日編『天文学の20世紀』(1999・朝日新聞社)』▽『アラン・H・グース著、はやしはじめ・はやしまさる訳『なぜビッグバンは起こったのか――インフレーション理論が解明した宇宙の起源』(1999・早川書房)』▽『佐藤文隆著、パリティ編集委員会編『いまさら宇宙論?』(1999・丸善)』▽『伊藤直紀著『宇宙の時、人間の時』(2000・朝日新聞社)』▽『大槻義彦編『現代物理最前線2』(2000・共立出版)』▽『佐藤文隆・小玉英雄著『一般相対性理論』(2000・岩波書店)』▽『佐藤文隆著『宇宙物理』(2001・岩波書店)』▽『杉山直著『岩波講座 物理の世界 地球と宇宙の物理5 膨張宇宙とビッグバンの物理』(2001・岩波書店)』▽『佐藤文隆ほか編、永長直人著『物質の中の宇宙論――多電子系における量子位相』(2002・岩波書店)』▽『藤井旭著『宇宙探検――そこが知りたい!宇宙の秘密』(2002・偕成社)』▽『戸田盛和著『宇宙と素粒子30講』(2002・朝倉書店)』▽『ジョン・グリビン著、樺沢宇紀訳『ニュートリノは何処へ――宇宙の謎に迫る17の物語』(2002・シュプリンガー・フェアラーク東京)』▽『寿岳潤責任編集、パリティ編集委員会編『宇宙論はいま』(2003・丸善)』▽『バーバラ・ライデン著、牧野伸義訳『宇宙論入門』(2003・ピアソン・エデュケーション)』▽『桜井邦朋著『図解 膜宇宙論――超弦理論からみえた驚異の宇宙像』(2003・PHP研究所)』▽『佐藤文隆著『宇宙論への招待――プリンキピアとビッグバン』(岩波新書)』▽『佐藤文隆著『宇宙のしくみとエネルギー』(朝日文庫)』▽『佐藤文隆著『現代の宇宙像』(講談社学術文庫)』▽『黒星瑩一著『宇宙論がわかる』(講談社現代新書)』▽『池内了著『泡宇宙論』(ハヤカワ文庫)』▽『磯部琇三著『宇宙はこうして発見された――宇宙の謎へのアプローチ物語』(KAWADE夢新書)』▽『佐藤勝彦監修『最新宇宙論と天文学を楽しむ本――太陽系の謎からインフレーション理論まで』(PHP文庫)』▽『二間瀬敏史著『ここまでわかった宇宙の謎――宇宙望遠鏡がのぞいた深宇宙』(講談社+α文庫)』▽『二間瀬敏史・山田亨著『こんなに面白い大宇宙のカラクリ――「すばる」でのぞいた137億年の歴史』(講談社+α文庫)』▽『福江純著『「見えない宇宙」の歩き方――ブラックホールからニュートリノまで』(PHP新書)』
宇宙の広がり〔図A〕
銀河の後退速度と距離の関係〔図B〕
二次元の曲がった空間〔図C〕
スケール・ファクターaの時間変化〔図D…
赤方偏移と見かけの等級Vの関係〔図E〕
膨張宇宙の温度と密度の時間変化〔図F〕
膨張宇宙のモデル〔表1〕
ビッグ・バン宇宙進化の年表〔表2〕
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…ジャイナ教は,こうした相対主義を思想的支柱として,後世ベーダーンタ学派の不二一元論やサーンキヤ学派の二元論,また仏教の無常論などと思想的に対抗して,インド思想史上無視できない重要な位置を占めるにいたった。
[宇宙観と業,解脱論]
ジャイナ教の宇宙観は,その特色ある存在論を基礎とする。あらゆる存在は霊魂(ジーバjīva。…
… 象山は子どものころからどっしりして大人びたところがあり,すでに4歳のときに,天地はどこにきわまるかという疑問を抱き,思いつめて寝食も忘れたといわれる。そして13歳のとき,古典を読んでいて〈宇宙〉の2字に行きあたり,その注釈に〈四方上下を宇と曰(い)い,往古来今を宙と曰う〉とあるのを見,忽然(こつぜん)として天地の無限性を悟り,〈宇宙内の事はすなわち己(おの)が分内の事,己が分内の事はすなわち宇宙内の事なり〉と書き記したという。ここには,客観世界を主観(心)のなかに取りこんでしまう,のちの象山哲学の骨組みがすでに先取りされている。…
…この説によって考えれば,西周中期以後史官の手で作られた記録がさらに春秋末期以後儒家によって方向づけられ六経となったようである。六経のうち《詩経》は祖先の功業をたたえ族人の和合を楽しむ氏族社会の歌謡を源泉とし,《書経》は西周創業期の誥(みことのり)を中心として尭舜から先秦に至る王朝史の体系を構成し,《礼経》(儀礼・礼記・周礼)は西周の氏族儀礼と国制を基準として大同思想に基づく時代観を展開し,《易経》は日常の占筮法から出発して陰陽二元論による宇宙論的運動法則を導き出した。さらに《春秋》は魯国の年代記に基づきつつ,列国・個人の行為を伝統的なルール(礼)に照らして記述する。…
※「宇宙」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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少子化とは、出生率の低下に伴って、将来の人口が長期的に減少する現象をさす。日本の出生率は、第二次世界大戦後、継続的に低下し、すでに先進国のうちでも低い水準となっている。出生率の低下は、直接には人々の意...
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