守る(読み)マモル

デジタル大辞泉 「守る」の意味・読み・例文・類語

ま‐も・る【守る/護る】

[動ラ五(四)]《「る」の意》
侵されたり、害が及ばないように防ぐ。「犯罪から青少年を―・ろう」「身を―・る術」
決めたことや規則に従う。「約束を―・る」「教えを―・る」
相手攻撃に備え、守備する。「ゴールを―・る」「外野を―・る」
目を離さずに見る。みまもる。
「庄兵衛は喜助の顔を―・りつつ」〈鴎外高瀬舟
様子を見定める。
近江あふみの海波かしこみと風―・り年はや経なむ漕ぐとはなしに」〈・一三九〇〉
[可能]まもれる
[類語](1かば保護する擁護する庇護ひごする守護する防護するガードする警護する警衛する護衛する弁護する庇い立て/(2遵守じゅんしゅする厳守する遵奉する護持する堅持する固守する固持する墨守する堅守する死守する遵法/(3防衛する防御する自衛する守備する固守する死守する

も・る【守る】

[動ラ四]
見まもる。見張る。番をする。
「見し人のかげすみはてぬ池水にひとり宿―・る秋の夜の月」〈夕霧
そばにいて、まもり育てる。
「殿を二歳の年より今年二十五になり給ふまで―・り奉りて」〈延慶本平家・二末〉
すきをうかがう。
人目―・る我かはあやな花すすきなどかほにいでて恋ひずしもあらむ」〈古今・恋一〉

まぼ・る【守る】

[動ラ四]
まもる1」に同じ。
「この雪の山いみじう―・りて、わらはべなどに踏み散らさせず」〈・八七〉
まもる4」に同じ。
「そもそもかしこに―・りてものせむ、世の中、いとはかなければ」〈かげろふ・下〉

まぶ・る【守る】

[動ラ四]まぼる」の音変化。
「わらはが顔をあいつに―・らせうと思うて」〈虎清狂・鏡男

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「守る」の意味・読み・例文・類語

ま‐も・る【守・護】

  1. 〘 他動詞 ラ行五(四) 〙 ( 「目(ま)(も)る」の意 )
  2. 目を離さないで、じっと見る。見つづける。見守る。見つめる。うちまもる。
    1. [初出の実例]「敢へて進み撃たず、相持(マモル)こと二日一夜」(出典日本書紀(720)雄略一八年八月(前田本訓))
    2. 「花のもとには、ねぢ寄り立ち寄り、あからめもせずまもりて」(出典:徒然草(1331頃)一三七)
  3. こっそりと様子を見る。動静に注目する。直接目では見えないものについてもいう。また、好機の到来をじっと待つ。うかがう。
    1. [初出の実例]「皮鞋(みくつ)の毱の随(まま)脱け落つるを候(マモリ)て、掌中(たなうら)に取り置ちて」(出典:日本書紀(720)皇極三年正月(岩崎本訓))
    2. 「下簾のはざまのあきたるより、この男まもれば、わが妻に似たり」(出典:大和物語(947‐957頃)一四八)
  4. おかされたり奪われたりしないようにする。外敵などを防ぐ。保護する。警固する。
    1. [初出の実例]「元より辺賊(ほか)の難を戍(マモル)」(出典:日本書紀(720)天武元年六月(北野本訓))
  5. 特に、神仏が、人々や土地が賊や危険におかされないようにする。守護する。
    1. [初出の実例]「住吉の神、ちかき境を鎮めまもり給」(出典:源氏物語(1001‐14頃)明石)
  6. 大切なものとして扱う。見守って世話をする。
    1. [初出の実例]「凡そ諸の僧尼は、常に寺の内に住へ、三宝を護(マモ)れ」(出典:日本書紀(720)天武八年一〇月(北野本訓))
  7. 決まり・規則・命令などにきちんと従う。遵守する。
    1. [初出の実例]「或は戒律をまもりて鉢の油をかたぶけず」(出典:観智院本三宝絵(984)下)

守るの補助注記

古くから「まぼる」の形もあった。


まぼ・る【守・護】

  1. 〘 他動詞 ラ行四段活用 〙
  2. まもる(守)
    1. [初出の実例]「人は目をくはせつつ、いとよく笑みて、まぼりゐたるべし」(出典:蜻蛉日記(974頃)中)
  3. まもる(守)
    1. [初出の実例]「闚(ひそか)に貼(マホリ)伺ひ視るなり」(出典:法華経玄賛保安三年点(1122))
  4. まもる(守)
    1. [初出の実例]「秦の桂林を戍(マボリ)て則ち珠浦に通へりしがこときのみならむや」(出典:大唐三蔵玄奘法師表啓平安初期点(850頃))
  5. まもる(守)
    1. [初出の実例]「君が代を百とせづつや八百よろづそこらの神のまぼりまつらん」(出典:重家集(1178))
  6. まもる(守)
    1. [初出の実例]「五には密しく諸根を護(マホラ)む」(出典:不空羂索神呪心経寛徳二年点(1045))
  7. まもる(守)
    1. [初出の実例]「女のいさぎよき道をまほりて」(出典:今鏡(1170)一〇)

まぶ・る【守・護】

  1. 〘 他動詞 ラ行四段活用 〙 ( 「まぼる(守)」の変化した語 )
  2. まもる(守)
    1. [初出の実例]「供なりける入道なきかなしみければ、西行つくづくとまぶり」(出典:西行物語(鎌倉中))
  3. まもる(守)
  4. まもる(守)
    1. [初出の実例]「そのきずをまふりをしむ」(出典:足利本仮名書法華経(1330)一)
  5. まもる(守)
    1. [初出の実例]「百王をまふりたてまつらんと云御誓ひ」(出典:撰集抄(1250頃)九)
  6. まもる(守)
    1. [初出の実例]「女房ひとりまぶってゐる男とてはなけれ共」(出典:浄瑠璃・大経師昔暦(1715)上)
  7. まもる(守)
    1. [初出の実例]「詮はまことの道心侍らば、〈略〉只、よぎりなくまふるべきにや」(出典:撰集抄(1250頃)一)

も・る【守】

  1. 〘 他動詞 ラ行四段活用 〙 ( 目を離さず見続ける意 )
  2. 入口などにいて外敵や獣の侵入を防いだり、異変を他に知らせたりする。番をする。見張る。まもる。
    1. [初出の実例]「大君の境賜ふと山守おき守(も)るといふ山に入らずは止まじ」(出典:万葉集(8C後)六・九五〇)
  3. そばにいて常に安全であるように取り計らう。守護する。まもる。
    1. [初出の実例]「筑波嶺の彼面此面(をてもこのも)に守部据ゑ母い毛礼(モレ)ども魂そ逢ひにける」(出典:万葉集(8C後)一四・三三九三)
  4. いつも見ていて隙をうかがう。
    1. [初出の実例]「心なき雨にもあるか人目守(もり)ともしき妹に今日だに逢はむを」(出典:万葉集(8C後)一二・三一二二)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

五節舞

日本の上代芸能の一つ。宮廷で舞われる女舞。大歌 (おおうた) の一つの五節歌曲を伴奏に舞われる。天武天皇が神女の歌舞をみて作ったと伝えられるが,元来は農耕に関係する田舞に発するといわれる。五節の意味は...

五節舞の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android