官僚(読み)カンリョウ

デジタル大辞泉 「官僚」の意味・読み・例文・類語

かん‐りょう〔クワンレウ〕【官僚】

役人官吏。特に、政策決定影響力をもつ中・上級公務員
[類語]公僕公務員役人官吏官員吏員国家公務員地方公務員武官文官事務官公吏官公吏能吏小役人属官属僚税吏獄吏キャリアノンキャリア

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百科事典マイペディア 「官僚」の意味・わかりやすい解説

官僚【かんりょう】

狭くは国家行政事務を担当し,国家から給与を受ける人間(群)をさすが,広くはあらゆる社会集団の管理事務を担当する人間(群)をさしていう。〈官僚的〉といわれる独特の閉鎖的・階級的・特権的意識をもつパーソナリティを発展させることがあるとともに,絶対主義や大衆国家などにおいて,強力な政治集団として機能することで注目される。官僚制という〈合法的支配類型〉の肥大化を分析したM.ウェーバーの研究は著名。近代日本では藩閥政治のもとで発生し,政党政治出現で一時後退したが,政党弱体化に伴い強力となり,満州事変後軍部と結ぶ〈新官僚〉と呼ばれる集団も生まれた。戦前の日本では内務省が官僚制の中核をなしたが,戦後はその重心が経済官庁に移っており,そのなかで〈天下り〉〈官官接待〉などの官僚制の病理現象が顕著になっている。
→関連項目政府大衆社会文官任用令

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「官僚」の意味・わかりやすい解説

官僚
かんりょう

行政を執行する任命職の公務員の呼称。しかし実際には、行政組織ないし国家および地方政府の官僚制の構成員のうち、下級の事務職的職員や労働者を除く、中級および上級の職員をさすことが多い(例、特権官僚、高級官僚など)。このことばはまた、高級官僚などの権力背景とした特権性、独善性、しゃくし定規などその官僚主義的行動様式を非難したり、悪くいう場合に用いられることが多い。

[田口富久治]

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世界大百科事典 第2版 「官僚」の意味・わかりやすい解説

かんりょう【官僚】

官僚ということばは官吏と同じ意味に用いられることもあるが,厳密には,むしろ官吏のあるべき姿から逸脱した場合をさすことばとして理解すべきであろう。たとえば,19世紀の初頭,プロイセンの官吏制度の改革を行ったシュタインが,改革以前の官吏について,彼らは月給取りで,本の上の知識しかもたず,支持すべき主義主張もなく,恒産もないと述べたとき,そこには活力を失ったみじめな官僚の姿が描き出されていたのである。ただ,より一般的には,このことばはむしろ官吏が権力者の意図を実施に移すという執行的な役割から逸脱し,みずから権力者たらんとする志向を示すようになったときに用いられてきたといえる。

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普及版 字通 「官僚」の読み・字形・画数・意味

【官僚】かんりよう(くわんれう)

官吏。同僚の役人。〔後漢書、孔融伝〕司徒楊賜の府に辟(め)さる。時に隱(ひそ)かに官僚の貪濁なるを覈(しら)べ、將(まさ)に貶黜(へんちゆつ)を加へんとす。

字通「官」の項目を見る

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世界大百科事典内の官僚の言及

【中国】より

…周の初期に全盛で春秋時期まで維持された封建制度の時代,これはとにもかくにも礼と徳が支配したとされる時代。それが徳の対立物たる〈力〉主義によって陥った〈戦国〉の分裂抗争という過渡期(春秋戦国時代)を秦の始皇帝が再び統一(前221)して以後の郡県の時代,これは法律と官僚の支配した中央集権の時代。秦以後,清朝の滅亡(1911)まで2000年,郡県の制度というものはもはや動かすべからざる情勢となったが,しかも国家の教学としては道徳と礼楽を原則とする儒教が採られたので,聖人たる周公の定めたところであり,儒教経典の記載するところである封建の世は後々まで政治の理想としての魅力を失わず,封建に帰れ,とか,郡県制の中に封建の意を寓せしめよ,とかの声は事あるごとに繰り返された。…

【読み書きそろばん(読み書き算盤)】より

…【青木 和夫】
[中世]
 中世の庶民に対する初等教育は,室町時代から戦国時代にかけて徐々に普及していった。中世前期においては王朝国家の貴族・官僚,幕府の官僚機構に属する武士のほかは,僧侶や芸能にたずさわる人々や,国衙などの官僚機構につらなる人々が,その職能に応じて,これらを特殊技能として保持しており,一般の中小武士・庶民における〈読み書きそろばん〉の普及は低い水準にあった。《今昔物語集》の伊豆守小野五友が,この能力を有するものを募って目代に任じた話や,《吾妻鏡》に載せられている無双の算術者大輔房源性の話は,これらの能力をもつものが一般的には少なかったことを示している。…

※「官僚」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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