宝冠(読み)ホウカン

デジタル大辞泉 「宝冠」の意味・読み・例文・類語

ほう‐かん〔‐クワン〕【宝冠】

宝石で飾った冠。
仏像の冠。頭全体にのせるものと額前面だけを覆うものとがある。大日如来の五智宝冠など。
五智宝冠または八葉蓮華をかたどった、山伏・修行者の着用したかぶり物。法冠
[類語]かんむり王冠栄冠月桂冠

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精選版 日本国語大辞典 「宝冠」の意味・読み・例文・類語

ほう‐かん‥クヮン【宝冠】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 宝玉で飾った冠(かんむり)。特に、女帝がかぶった冠。
    1. [初出の実例]「冕冠〈天皇即位・朝拝・朝堂儀用之、女帝着宝冠、童帝着日形冠〉」(出典西宮記(969頃)一七)
    2. 宝冠<b>①</b>〈冠帽図会〉
      宝冠〈冠帽図会〉
  3. 仏像の冠。大日如来の五智宝冠はその例。
    1. [初出の実例]「八葉の中尊を宝冠をば、わが首の血をいだいてかかれけるとぞ聞えし」(出典:平家物語(13C前)三)
    2. [その他の文献]〔韓琦‐北第同賞芍薬詩〕
  4. ( 「法冠」とも書く ) 五智宝冠または八葉蓮華をかたどった山伏・修行者が着用したかぶりもの。
    1. [初出の実例]「浄衣・法冠・しめ斗にて行」(出典:俳諧・曾良随行日記(1689)日記本文)

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普及版 字通 「宝冠」の読み・字形・画数・意味

【宝冠】ほうかん

宝玉の冠。

字通「宝」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の宝冠の言及

【兜巾(頭巾)】より

…起源は,防護・防寒用の頭巾(ずきん)らしい。《修験修要秘決集》などによれば,宝冠型の兜巾は大日如来の五智の宝冠にたとえられ,黒色は煩悩,襞(ひだ)は十二因縁を表し,凡聖不二にして,これをかぶる者は大日如来,不動明王と同体であると説く。兜巾のかわりに,白の晒(さらし)木綿で頭を包んで,先端を顔の左右に垂らす宝冠を用いる者もいる。…

※「宝冠」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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