耕地土壌の物理的・化学的性質を改良し,耕地の生産性を高めることを目的として,他の場所から適当な土壌を運搬し,耕土に混ぜる工法をいう。客土を必要とする土地は,(1)作土が浅い耕地(おおむね15cm以下の場合),(2)泥炭土,火山灰土,重粘土,極端な砂質土など土壌の物理・化学性が作物の生育に不適な耕地,(3)下層地盤の漏水性が大きい水田,(4)鉄などの成分の少ない老朽化した水田などである。また近年では,土壌汚染の復旧工法にも客土が行われるようになった。客入する土の質および量は,それぞれの目的および施工前の状況により決定されるが,10a当り30~50m3投入されるのが普通である。客土の方法には,搬入客土(以前は馬そり,トロッコ,土運搬列車などによったこともあったが,最近ではほとんどダンプトラックを使う),流水客土(土を灌漑用水路などの流水に混入して自然流下させ圃場(ほじよう)まで導き沈殿させる),ポンプ客土(土を水と混ぜ泥水とし,サンドポンプを使って管路輸送する)などがある。客土の費用は90%前後まで土運搬の費用で占められるのが普通である。したがって客入地の改良の目的,総客土量,土取場と客入地間の距離および高低差,運搬道路の状態などを考えて経済的な運搬方法を選ぶことがたいせつである。一般には運土距離に応じて人力,畜力,軌道,ダンプトラックなどの運搬方法がとられるが,立地条件によっては,流水客土,ポンプ客土などの方法がとられる場合もある。しかし,適当な材料の不足,施工費が高すぎるなど事業に困難がある場合もある。客土の対象となる圃場は,日本では水田に限られていたが,近年では水田の畑地への転換あるいは田畑の輪換に伴って客土が行われる場合もでてきた。
執筆者:多田 敦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
土壌の性質を改善する目的で、粘土含量が高く鉄その他の養分の多い山土や、有機物、窒素などの養分に富む湖底や沼、用水路などの泥土を田畑に搬入することをいう。客土は、溶脱した養分を補給して土壌を若返らせ、また、作土の厚さを増やす効果がある。客入土を水に懸濁させて耕地に灌漑(かんがい)し、沈殿させる方法を流水客土とよぶ。
農用地の土壌の汚染防止等に関する法律(昭和45年法律第139号)の制定以降、カドミウムなどで汚染された土壌を汚染されていない土壌と入れ替えて改良することが行われているが、このような方法を排土客土という。
[小山雄生]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新