( 1 )梵語 pūrva また atīta の漢訳語。三世の過去世をさす語で、①が本来の用法であるが、中古仮名文学では②の用法が中心である。一〇世紀中頃まで仏書以外にはほとんど用例がない。
( 2 )仮名表記「すくせ」は古代日本語の音韻的制約から、拗音シュを直音化したもの。他に「シウせ」〔教行信証・六〕の表記も見える。
( 3 )「すぐせ」は「すくせ」から転じて、「過去の世」という意識のもとにできた読みかといわれる。なお、和文の類はほとんど「すくせ」と表記されているが、「日葡辞書」「易林本節用集」などでは「しゅくせ」とよんでいるので、漢字で表記された例、仏典の例は「しゅくせ」に便宜上一括した。
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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