…特殊小作慣行の一つで,永代小作,永世小作,永久小作などともよばれる。その主要な特徴は,小作期間が無期限もしくはきわめて長期であること,地主は小作人側に特別の不都合がないかぎりその土地を引き上げることができないこと,小作人はその権利を他人に売買譲渡できること,小作料が一般に低額であること,その土地への公租公課を小作人が負担する場合もあることなどであり,永小作権は普通小作権に比べて強固であった。その成立原因は多岐にわたるが,そのおもなものとして,開墾や新田開発に際して小作人の労費が投下された場合,土地改良が小作人の労費によって行われた場合,所有権の移転の際に設定された場合,永年にわたって継続された小作が永小作として認定された場合,地主と小作人の特別な関係に基づく場合などがあげられる。…
…古代ローマの小作人。共和政末期から史料に現れるが,帝政期に入って奴隷制の占める比重が下がってくるとともに,農業における生産者層としての重要性を増した。…
…彼らはわずかな土地しかもたない自作農ないしは自小作農であり,5等戸中には,財産がないのに納税の義務を負う無産税戸も含まれていた。 客戸は,もともと客来の戸を意味し,僑居する商工業者もその中にはいったが,大部分は佃戸,佃農などとよばれ,地主の土地を耕作する無産の小作人たちであった。佃戸は唐代の部曲とは異なって,社会的にも法的にも自由民であって,地主とは契約によって結ばれていた。…
…農は国の本,生業の正道である,ゆえに税金も農民から取るのが正道,商業など論ずるに足らず,という論理で,農民に対する税の方がはるかに重かった。小作人の地主への小作料が収穫のほぼ50%,地主・自作農は税を納めるが規定の税率はもっと低く,また安定した率であってそれだけならばそれほど問題はない。農民をくるしめ疲弊せしめたのは,むしろ官僚の恣意的な付加徴収つまり役得であった。…
…(2)他人労働使役の3形態 近世の典型としての小農の農業と並んで,戦国期から近世・近代にわたってみられる他人労働使役の数町歩経営には,使用労働の質からみて大きくは三つの形態がある。第1の形態は奴婢に類する,身柄を主家が所有し,売買・質入の対象ともなる譜代下人と,その家の所有耕地の一部を耕作しつつ無償労働を提供する小作人労力を利用する,旧名主(みようしゆ)層の経営である。第2の形態はこの種の下人が独立し,小作人が物納小作料を納めるようになった段階の地主経営である。…
…信濃国(長野県)伊那郡を中心に,江戸時代に存在した農繁期の農業労働や家事労働を提供する小作人をいう。この小作人を持つ地主を〈おやかた〉とか〈おえい〉と呼び,〈御館〉〈御家〉の字をあてている。…
※「小作人」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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