小野宮年中行事(読み)おののみやねんじゅうぎょうじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「小野宮年中行事」の意味・わかりやすい解説

小野宮年中行事
おののみやねんじゅうぎょうじ

右大臣藤原実資(さねすけ)の著になる、年中行事儀式、有職故実(ゆうそくこじつ)に関する書。実資の養父祖父)実頼(さねより)および実頼の弟師輔(もろすけ)は、それぞれ父忠平(ただひら)の儀式作法を伝承し、藤原氏のなかに小野宮流、九条流の作法を確立した。師輔が『九条年中行事』を作成し、実頼も『小野宮年中行事』の作成にとりかかったが、その完成は、斉敏(ただとし)の子であり、日記『小右記(しょうゆうき)』の著者の実資である。年中行事、恒例、臨時の行事などを説明しているが、『九条年中行事』よりは、やや簡略である。

山中 裕]

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世界大百科事典 第2版 「小野宮年中行事」の意味・わかりやすい解説

おののみやねんちゅうぎょうじ【小野宮年中行事】

藤原氏小野宮流の年中行事の儀式作法を説明し,有職関係のことなどをあわせ記した書物。1巻。著者は藤原実資。実頼(実資の養父)と師輔の兄弟は,父忠平の教命を受けて,それぞれ小野宮流,九条流の有職を確立した。実頼は日記《清慎公記(水心記)》以外にとくに行事に関する書物は作らなかったため,実頼の儀礼を小野宮流として完成させたのは実資の本書である。《弘仁式》《貞観式》をはじめ,多くの日記類等を引用するが,そのなかには現在散逸して伝わらぬ書も少なくない。

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世界大百科事典内の小野宮年中行事の言及

【九条年中行事】より

…兄の実頼とともに父忠平の教命を受け,実頼の小野宮流に対し,九条流の故実を伝えるために作成された。実頼の養子実資がまとめた小野宮流の《小野宮年中行事》が先例の記述にくわしいのに対して,これより前に著された本書は儀式作法そのものの記述がくわしい。このほか政務に関する記述がある。…

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