尺蠖の屈するは伸びんがため(読み)せっかくのくっするはのびんがため

精選版 日本国語大辞典 の解説

せっかく【尺蠖】 の=屈(くっ)するは[=屈(かが)むは]伸(の)びんがため

  1. ( 「易経‐繋辞下」の「尺蠖之屈、以求信也、龍蛇之蟄、以存身也」による ) シャクトリムシがからだを縮めるのは、次にからだをのばして前進しようとするためであるの意で、将来大きく発展しようとする人間は、一時、人のうしろにさがって待機する心がけが必要であるということ。しゃっかくの屈めるは伸びんがため。
    1. [初出の実例]「尺蠖(セキクヮク)の屈むは信(ノビン)が為なり」(出典:滑稽本・風来六部集(1780)痿陰隠逸伝)

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故事成語を知る辞典 の解説

尺蠖の屈するは伸びんがため

大きく発展しようとするならば、時には忍耐して時機を待つことも必要である、ということ。

[使用例] 三年経ちました――。尺蠖の縮むは伸びんがため。いまようやく軍もととのいましたゆえ、六度征旗をすすめてちゅうげんへ出ようと思います[吉川英治三国志|1939~43]

[由来] 「易経けい・下」の一節から。「尺蠖の屈するは、もっびんことを求むればなり(尺取り虫が体を縮めるのは、体を伸ばして前進しようとするからである)」とあり、これは人間でも同じことだ、と述べています。

〔異形〕尺蠖の縮むは伸びんがため。

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