精選版 日本国語大辞典 「尺貫法」の意味・読み・例文・類語
しゃっかん‐ほう シャククヮンハフ【尺貫法】
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長さの単位に尺、質量の単位に貫を基本にとった日本固有の単位系。中国古代制度を起源とするものであるが、中国の質量の基本的単位は斤で、貫は日本特有のものである。しかし斤も貫も銭(匁(もんめ))から出発する点で同系統のものとみて差し支えない。
尺は手を広げて物に当てて長さを計る形の象形文字である。したがって尺は手幅を基準にとった単位で、周代の1尺はいまの6寸程度である。この尺が時代とともに伸び、さらにいまの1尺に近い民間木工用の尺は官制の尺とは別系統の尺として発生し、民間に普及した。そこで隋(ずい)代にはこれも公定したので、いまの約8寸の小尺と、それより2寸長い大尺の2制ができた。これが唐代に引き継がれ、さらに大宝律令(たいほうりつりょう)(701)によって日本に導入された。小尺は中国でも日本でも使われなくなり、大尺はわずかに伸びて江戸時代にほぼいまの長さに落ち着いた。しかし一般用の竹木製の通称竹尺と大工用の曲尺(かねじゃく)との間に約4厘ほどの差があったので、1875年(明治8)これを平均して現在の33分の10メートルが確定した。
1貫は1000匁で、匁は中国の銭貨を意味する「泉」の草書である。これを「もんめ」とよぶのは1銭つまり1文の目方からきたもので、唐の開元通宝銭の質量が宋(そう)代に実用の単位となったからである。律令は唐制に倣って斤、両を取り入れたが、これにも大小制があり、小は大の3分の1であったが、小は使われなくなり、10匁の両と160匁の斤が普及した。しかしその大きさには律令以来変化がない。室町時代から1000匁を1貫とする習慣ができ、斤と併用されるようになった。貫は銭貨を1000枚貫いた重さからきている。これが1891年(明治24)1キログラムの4分の15と定義されて今日に至っている。これらの単位の倍量・分量の単位にも、面積や体積の単位にも変遷があったが、現在計量法施行法にあがっている尺貫法の単位は次のとおりである。
(1)長さの単位 尺(33分の10メートル)、鯨尺尺(66分の25メートル)、毛、厘、分、寸、丈、間(6尺)、町(360尺)、里(1万2960尺)。
(2)重さ(質量)の単位 貫(3.75キログラム)、毛、厘、分、斤(0.16貫)。
(3)面積の単位 平方尺、歩(ぶ)または坪(121分の400平方メートル)、平方尺、平方寸、勺、合、畝(せ)(30歩)、反(300歩)、町(3000歩)。
(4)体積(容積)の単位 立方尺、升(133万1000分の2401立方メートル)、立方分、立方寸、立坪(216立方尺)、勺、合、斗、石。
これらの単位は計量法施行法により1966年(昭和41)3月以後は取引および証明の計量には用いられないとされている。ただ匁だけは外国で真珠用に用いられているため、真珠に限って認められている。
[小泉袈裟勝]
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日本独自の計量単位系。また計量方法など計量にかかわる古来の習慣も含めていうことがある。尺は長さの単位で,十進法で毛・厘・分・寸・尺・丈と進み,6尺が1間,60間が1町,36町が1里。貫は重さの単位で,毛・厘・分・匁と進み,1貫は1000匁,1斤は160匁。明治政府は1875年(明治8)尺枡秤三器取締規則・度量衡取締条例・度量衡検査規則を公布した。これにより度量衡の製作・売り捌きには官許が必要となり,従来所持の度量衡器も検査をうけることになった。このとき,享保尺と又四郎尺を折衷した折衷尺を曲尺(かねじゃく)とし,曲尺1尺2寸5分を鯨尺(くじらじゃく)の1尺と定め,曲尺・鯨尺以外の名称を禁じた。斗量は従来どおり曲尺6万4823立方分を1升とし,重量も従来どおりとしたが,岩倉使節団が持ち帰ったフランスの原器を用いて,1匁を3.756721gと規定した。尺貫法は91年,メートル法に対応する度量衡法によって確定されたが,経済の国際化などにともない1951年(昭和26)に計量法が制定され,58年末までに一部の例外を除いて廃止された。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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(今井秀孝 独立行政法人産業技術総合研究所研究顧問 / 2008年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
…一方,政府は85年メートル条約に加入した。以来,国の近代化のため,枡以下の度量衡器を支えてきた尺貫法に替わり,メートル法を採用する努力を重ねてきた。その間幾多の困難はあったが,ついに1959年1月1日を期してメートル法の完全実施を断行した。…
※「尺貫法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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