デジタル大辞泉 「尺」の意味・読み・例文・類語
しゃく【尺】[漢字項目]
[学習漢字]6年
〈シャク〉
1 長さの単位。1寸の10倍。「尺八・尺貫法」
2 ものさし。「尺度/
3 長さ。「
〈セキ〉
1 わずか。「尺寸・尺土/
2 手紙。「尺書・
[名のり]かね・さか・さく
[難読]
尺貫法の長さの単位。中国、朝鮮半島および日本を通じて用いられてきた。起源は、文字の示すように、手を広げて物に当てた長さである。『大戴礼(だいたいれい)』の孔子の言にも「手を布(し)きて尺を知る」とある。今日の尺は中国でも日本でも30センチメートルを超えているが、人の手幅は平均20センチメートル程度で、いまの6寸ほどであるから、数千年の間に長さの基準が変化したのである。その変化のありさまは時間的、地域的に異なるが、要約すれば、発生以来音律および公式用として公定されたものと、土木建築用、土地丈量用および裁衣用とに分かれて変化してきた。このうち土木建築用の曲尺(かねじゃく)は、周代に発生して以来技術とともに伝承されて、変化がなく今日に至っている。隋(ずい)代には音律、公式用の小尺と建築用の大尺とが公定されて大小尺制となり、唐に受け継がれて日本の大宝律令(たいほうりつりょう)(701)に採用された。しかしこれより前に、大尺で1尺2寸の高麗尺(こまじゃく)が土地用に用いられていたとみられている。律令の小尺は、まもなく実用されなくなり、一般に曲尺が用いられるようになった。室町時代以後、裁衣用に1尺2寸の呉服尺が、江戸時代には1尺2寸5分の鯨尺(くじらじゃく)が現れて民間に用いられた。1874年(明治7)枡座(ますざ)の枡に用いられていた尺(33分の10メートル)が平均に近い曲尺として採用され、今日に至っている。しかし、1959年(昭和34)にメートル法に統一され、現在では取引・証明上の計量には用いてはならないことになっている。
[小泉袈裟勝]
尺貫法における長さの単位。曲尺(かねじやく)の尺と鯨尺の尺の2種に分かれる。
(1)曲尺の尺。尺貫法における長さの基本単位で,1891年制定の度量衡法において,日本国メートル原器を基準器として,実効上,10/33mと定められた。ここで実効上というのは,法文上は尺を長さの単位の基本としていることによる。したがって1尺は約30.303cmであり,分量単位は1/10尺の寸,以下十進法による分,厘,毛である。倍量単位は寸法用と距離・間隔用に分かれ,寸法用の倍量単位は10尺に等しい丈,距離用の倍量単位は6尺の間(けん),60間の町,36町の里である。
(2)鯨尺の尺。曲尺の尺の5/4倍,すなわち1尺2寸5分を単位とする尺を鯨尺尺といい,25/66mに等しく,約37.9cmである。倍量単位などについては〈鯨尺〉の項目を参照。尺貫法の廃止に伴い,曲尺の尺も鯨尺の尺も法定単位ではなく,取引,証明には使用できないが,それぞれ和風建築用,和裁用の道具の目盛として用いられている。なお,尺はものさしの意味にも用いられる。
→尺貫法
執筆者:三宅 史
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
… なお度量衡に対応する西欧語は,英語weights and measures,フランス語poids et mesures,ドイツ語Mass und Gewichtなどであって,質量(weights,poids,Gewicht)と長さ・体積(measures,mesures,Mass)との並列という表現になっている。
【史上の度量衡】
中国の《書経》の後につけられた注疏(ちゆうそ)を見ると,〈度はこれ丈尺,量はこれ斛斗,衡はこれ斤両〉とあり,国の法制度としてこれらを等しくしておくのだといった説明がなされている。ここにいう丈,尺,斛(石とも書く)などは,ものごとを数量的に表現するための〈単位〉の呼名である。…
※「尺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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