屈託(読み)クッタク

デジタル大辞泉 「屈託」の意味・読み・例文・類語

くっ‐たく【屈託/屈×托】

[名](スル)
ある一つのことばかりが気にかかって他のことが手につかないこと。くよくよすること。「―のない顔」
「人は只だ黄金おかねのことばっかりに―して」〈木下尚江良人の自白
疲れて飽きること。また、することもなく、退屈すること。
「―そうな顔をして、火箸ひばしで火をいじくっていた」〈秋声足迹
[類語]心配気がかり心がかり不安懸念危惧きぐ憂慮憂患心痛心労気苦労思案うれおそれ気遣いわずら心配り配慮気配り心遣い心掛け顧慮細心気兼ね注意目配り高配気遣う気を遣う気を利かせる気を配る心を配る心を砕く目が届く行き届く

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精選版 日本国語大辞典 「屈託」の意味・読み・例文・類語

くっ‐たく【屈託・屈托】

  1. 〘 名詞 〙
  2. あることだけを気にかけること。そのことにだけとらわれてくよくよすること。気にかけて心配すること。
    1. [初出の実例]「盗賊は現在ばかりに屈詫(クッタク)して」(出典甲陽軍鑑(17C初)品八)
    2. 「全体(ぜんてえ)坊主なんてえものは、高い石段の上に住んでやがって、屈托がねえから」(出典:草枕(1906)〈夏目漱石〉五)
  3. ( 形動 ) つかれてあきること。することがなく、困りはてること。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「皆な屈托(クッタク)な顔をして物思に沈んで居る」(出典:空知川岸辺(1902)〈国木田独歩〉一)

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