精選版 日本国語大辞典 「屋敷」の意味・読み・例文・類語
や‐しき【屋敷】
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主屋(おもや)をはじめ生活や生産に必要な諸施設を配した一構えの土地。「やがまえ」「かいと(垣内)」などとよぶ地方もある。屋敷の入口を「じょうのくち」といい、悪霊や疫病をそこで防ぐ所と解せられた。地方によってはそこに長屋門を建てることもある。一般に季節風の方向を考えて、周辺に屋敷林を植えてこれを防ぐ。北西とか北を重視することが多い。ところが北陸地方では、冬の季節風は北西風が多いが、それが中央山脈に突き当たり、強さを増して南東から逆流して吹き付ける。そのためその方向にも厚く高い防風林を植える。したがって屋敷内に太陽光線が射入するのに妨害となる。それが種々の地方病を誘発する。屋敷林は防風だけでなく、防雪の役目も果たすし、古来薪炭(しんたん)材や建築用材の供給にも有効である。東北地方の平坦(へいたん)地ではそのため屋敷林を高く繁茂させる。これをイグネとよんでいる。武蔵野(むさしの)台地でも、ケヤキの大木で屋敷を守る風習があった。そのケヤキ林は一種の家格を示す象徴とも考えられ、ケヤキダイジンの呼称もあった。山陰地方の築地松(ついじまつ)は一種の防風林であるが、角型に美しく刈り込んでいるので、集落の景観に特色を示している。屋敷の中央付近に主屋を建て、その北西隅(戌亥(いぬい)の方角)に土蔵を設けるのをもって福徳とするという習俗は、かなり広い地域に分布している。屋敷の北東隅(丑寅(うしとら)の方角)は鬼門にあたるとして、屋敷神の祠(ほこら)を祀(まつ)る地方もかなりある。主屋の前の空き地をオモテとかソトニワといい、穀物の干し場その他になくてはならないものとされる。主屋の左右をコヒラ、背後をセドヤとよぶが、ときにはオモテの一部をツボニワとする。
主屋以外、屋敷のなかには、厩(うまや)、作業場(こなしば)、納屋、物置、風呂(ふろ)場、便所、ぬか屋(籾殻(もみがら)置き場)、みそ部屋、薪(まき)小屋、堆肥(たいひ)舎、灰小屋などが随所に配置される。その配置方法については家相の支配を受けることが多い。東北地方から関東にかけては、屋敷は比較的広く小屋の数も多いが、西に行くにしたがって、これと反対になる傾向がみられ、また屋敷林よりも付属施設で屋敷を囲う場合が多い。
[竹内芳太郎]
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出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
… 村組は一般に組と呼ばれるが,同時に全国各地にさまざまな村組を示す名称が分布している。主要なものを示せば,東北地方のヤシキ(屋敷),北関東のツボ(坪),南関東のニワ(庭),ニワバ(庭場),サト(里),中部地方のコウチ(耕地),近畿地方を中心に広く分布するカイト(垣内,垣外,貝戸,海戸等),中国・四国地方のドイ(土居),ホウジ(榜示),北九州のコガ(空閑),南九州のカド(門),沖縄本島北部のバーリ,同島南部のダカリなどである。これらのうち,東北地方,関東地方あるいは九州に分布する屋敷,坪,庭,門などの名称は,他方では個別の家においてその居住空間やその一部を示すものとして一般的に使用されている語である。…
…別宅に対して家主の本拠となる邸宅のこと。日本史上では中世在地領主の所領の中核をなす屋敷および付属地を指す。律令制下において私有をみとめられた私宅と家地・園地を,その直接の起源とする。…
…中世の長者(地方武士,土豪など)屋敷の門前にひろがる付属耕地(畠の場合は門畠(もんぱく)という)。〈かどた〉ともいう。…
…日本近世において,主人不在の家屋敷を預かり,その管理・維持に携わる管理人のこと。家主(やぬし∥いえぬし),屋代(やしろ),留守居(るすい),大家(おおや)などとも呼ばれた。…
※「屋敷」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報
少子化とは、出生率の低下に伴って、将来の人口が長期的に減少する現象をさす。日本の出生率は、第二次世界大戦後、継続的に低下し、すでに先進国のうちでも低い水準となっている。出生率の低下は、直接には人々の意...
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