(読み)シュウ

デジタル大辞泉 「州」の意味・読み・例文・類語

しゅう【州】[漢字項目]

[音]シュウ(シウ)(漢) [訓]
学習漢字]3年
〈シュウ〉
川の中などに土砂が積もってできた島。す。なかす。「州渚しゅうしょ州嶼しゅうしょ
大陸。「欧州豪州六大州
くに。「紀州九州信州神州本州
米国などの行政区画の一。「州議会/加州
〈す〉「砂州さす座州中州三角州
[補説]「州」と「洲」は通用字。訓の「す」は呉音に由来。
[名のり]くに
[難読]八州やしま

しゅう〔シウ〕【州/×洲】

[名]
米国・オーストラリアなどの連邦国家を構成する行政区画。「―の法律」「―政府」
日本で古くから用いた地域単位としてのくに。「甲州」「上州」など。
古代中国の行政区画の一。漢の武帝が郡県の上に13州を置いたのに始まる。のち、しだいに細分化されて郡との差がなくなり、近代になって廃止。
地球上の地を大陸で区分していう称。「五大―」「大洋―」
[接尾]近世、人名などに付いて、親愛の意を表す。
「何、―には手管なしとや」〈浮・禁短気・二〉

す【州/×洲】

川・湖・海の底に土砂がたまって高くなり水面上に現れたもの。河口付近などの比較的浅い場所にできる。「中―」「砂―」「三角―」
[類語]砂州中州デルタ三角州扇状地干潟

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精選版 日本国語大辞典 「州」の意味・読み・例文・類語

しゅうシウ【州・洲】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 土砂の堆積などによって形成された陸地、州(す)、島をいう。〔爾雅‐釈水〕
    2. 人の集まり住む土地。国。
    3. 地域区画の一つ。
      1. (イ) 中国、周代、全土を九州に区画し、漢代には一三州となる。その後、数が増加し、隋の時、二四一に達したため一時廃止。唐に至り復活したが、中華民国以後、用いられていない。
        1. [初出の実例]「震旦の洲に一の山寺有り」(出典:今昔物語集(1120頃か)七)
        2. [その他の文献]〔周礼‐夏官・職方氏〕
      2. (ロ) 日本で古くから用いた地域区分の一つ。一地域単位としての国。
        1. [初出の実例]「到州半秋清兼慎、恨有青々汚染蠅」(出典:菅家文草(900頃)三・行春詞)
      3. (ハ) もと台湾に置かれた上級の地方自治体。州知事が事務を統轄し、州の下には郡、市、街、庄が置かれた。
        1. [初出の実例]「台湾に左の州及庁を置く」(出典:台湾総督府地方官官制(大正九年)(1920)一条)
      4. (ニ) 地球上の大陸を分けていうのに用いる。また、単に広大な大陸にも用いる場合がある。
        1. [初出の実例]「欧邏巴洲総説〈略〉此洲は亜細亜と相接たる外は、皆海に瀕して限とす」(出典:輿地誌略(1826)一)
      5. (ホ) アメリカ合衆国・スイス・オーストラリアなど、連邦国家を構成する行政区画の一つ。この区画の連合体として国家が構成される。
        1. [初出の実例]「此国俄に強大に相成、元来十三州の処、唯今二十四州と罷成」(出典:外国事情書(1839))
  2. [ 2 ] 〘 接尾語 〙 近世、人名などに添えて親愛の意をこめていうのに用いる。人名の場合、源太を源州、また、職業、境遇などを表わす場合、番頭を番州、風呂屋女呂州などと用いる。
    1. [初出の実例]「何野州(ヤシウ)には手管なしとや」(出典:浮世草子傾城禁短気(1711)二)

す【州・洲】

  1. 〘 名詞 〙 河口付近や湖などの比較的浅い場所に堆積した土や砂が水面の低下に伴って水面上に現われてできた平地
    1. [初出の実例]「夏麻引く海上潟の沖つ洲(す)に鳥はすだけど君は音もせず」(出典:万葉集(8C後)七・一一七六)
    2. 「浪高くて入江のいたづらなるすどもにこと物もなく」(出典:更級日記(1059頃))

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改訂新版 世界大百科事典 「州」の意味・わかりやすい解説

州 (しゅう)
zhōu

中国の地方行政区画の名称。河流によって区画された部分(中洲)が州の原義といわれるが,《周礼(しゆらい)》などには2500家を州とするとか,州里・州閭(しゆうりよ)などの用例もあり正確にはわからない。《書経》の〈禹貢〉篇には,冀(き),兗(えん),青,徐,荆(けい),揚,予(よ),梁,雍の九州があげられ,後世まで中国の地域区分に影響を及ぼした。漢の武帝はこれに交趾,朔方などを加え13州部として刺史を置き,監察区画としたのが州のエポックとなる。以後,州はしだいに細分化され,後漢時代には5~12の郡,国を監督する上級地方行政区分に変わり,それがまた増加した。南朝梁では州は107,北朝北魏では38を数え,全国を統一した隋代には241に達し,郡と大差がなくなった。このため唐初,郡は廃止されて,州県の二級の行政区が採用され,清末に至る(知事)。州の数は唐代約300,宋では約250,元には領土の拡大のため559となるが,明は約200,清代には226であった。元は州の上にさらに中級行政区のを設けたが,明・清時代はそれをやめ,代りに唐からあった特別州であるを増加し,同時に属県の有無によって直隸州と散州の区分を設けた。清代では府235,直隸州81,散州145となり,中級行政区州は府と県に分解した感があった。中華民国の成立とともに州は廃止されたが,現在でも徐州市,蘇州市のように古来の州名を正式名称に採用している場所もある。日本は信濃を信州というように国の雅称として使うのみで,正式の行政区画としては受け入れなかった。
執筆者:


州 (しゅう)

アメリカのステートstate,ドイツのラントLand,スイスのカントンKantonのような連邦制国家の支分国ないし支邦を,一般に〈州〉という。州は連邦の単一主権の下に統合されているが,通常,独自の憲法立法司法・行政権をもつ。単一国家の地方政府とは,法的・政治的構造を異にする。連邦政府の権能は,憲法原理上州が授権したものに限定され,それ以外は州政府と人民に留保される。けれども,連邦制国家における州の地位は,社会経済発展に対応した連邦政府機能の拡大により,しだいに動揺ないし弱体化している。連邦政府は,州の責任領域とされていた多くの内政領域に補助金,融資等の金融財政政策を有力な手段として介入の度を深め,連邦,州,地方政府の混然一体化が指摘されている。それでも,州は連邦憲法の修正に同意権をもち,また規模の大小に関係なくアメリカでは上院,ドイツでは連邦参議院に同等の議席をえて国政に参画しており,その政治的影響力は大きい。
連邦制
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山川 世界史小辞典 改訂新版 「州」の解説

州(しゅう)

中国の地方行政区画。漢の武帝のとき(前106年),郡県の監察のため13州を置いたのに始まる。長官は刺史(しし)。隋のとき(583年)郡を廃して州県制をしき,唐宋以後は,路に属する中級地方行政単位として存続した。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【裁判】より

…(2)裁判の主体と管轄 主体相互間としては,一般的には西国は朝廷,東国は鎌倉幕府が管轄し,とくに西国堺相論―複数本所間の係争は朝廷の裁判権に属する。幕府内では西国は六波羅探題,末期の九州は鎮西探題が受け持ち,14世紀末,室町幕府が朝廷の公権を吸収することによって,寺社本所一円領としてとくに本所の所領支配が固着したものを除き,幕府の裁判権が全国に及ぶ。もっとも坂東八ヵ国は鎌倉公方が管掌する。…

【郡県制】より

…中国の地方行政区画制度。厳密には秦から唐初まで郡県制が実施され,それ以後は州県制に代わるが,ここでは一つに取り扱う。郡県は周代の封建に対する語。…

【三国時代】より

…董卓は献帝を擁して長安に拠ったが部下の呂布らに殺され,関中地方も混乱に陥った。一方,華北東部には公孫瓚(幽州),袁紹(冀州)らが割拠し,黄河以南では曹操が徐州を中心に勢力を張って兗(えん)州の呂布と争った。袁術は南下して江北一帯を手中に収め,孫堅の子孫策は長江(揚子江)南岸に拠った。…

※「州」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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