左右無し(読み)ソウナシ

デジタル大辞泉 「左右無し」の意味・読み・例文・類語

そう‐な・し〔サウ‐〕【左右無し】

[形ク]《「左右」はあれこれ、とやかく、の意》
ためらわない。無造作である。
「―・くは撃ってかかられず」〈紅葉・二人女房〉
「―・く湯殿へ行きて、はだかになりて」〈宇治拾遺・三〉
どちらともつかない。
「なほこのこと―・くてやまむ、いとわろかるべし」〈能因本枕・二〇〉

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精選版 日本国語大辞典 「左右無し」の意味・読み・例文・類語

そう‐な・しサウ‥【左右無】

  1. 〘 形容詞ク活用 〙 ( 「左右」はとかくの意 )
  2. あれこれとためらわない。とやかくいうまでもない。無造作である。容易である。
    1. [初出の実例]「僧の入ぬれば、此を其ぞと思て、左右(さう)无く家へ行けるに」(出典今昔物語集(1120頃か)二六)
    2. 「日頃参らぬところなれば、さうなく参り得ず」(出典:義経記(室町中か)四)
  3. あれともこれとも決まらない。
    1. [初出の実例]「猶この事、さうなくてやまん、いとわろかるべしとて」(出典:能因本枕(10C終)二〇)
  4. そうなし(双無)

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