デジタル大辞泉 「巨星」の意味・読み・例文・類語
きょ‐せい【巨星】
2 輝かしい業績をあげた偉大な人物。大人物。
[類語](2)偉人・巨人・英傑・傑物・傑士・傑人・人傑・俊傑・怪傑・大人物・逸材・大物・女傑・大器・英雄・ヒーロー・老雄・群雄・奸雄・両雄・風雲児・雄・名人・達人・名手・妙手・エキスパート・巨匠・名匠・名工・
恒星が中心部での水素を燃焼し尽くしてその中心核が収縮する一方、それに接する薄い殻状部分で水素燃焼がおきて、外層部分が膨張し、表面温度の低い巨大な星となったもの。太陽程度以下の小質量星は準巨星を経て巨星となるが、大質量の星は巨星を経て超巨星へと進化する。巨星の光度は太陽の1万倍、超巨星は100万倍近くにも達する。とくに表面温度が約3000K以下のものを赤色巨星、赤色超巨星などと、その見かけの色を強調してよぶ。
巨星の内部では熱流のほとんどが対流によって運ばれており、もっとも伝播(でんぱ)効率のよい構造となっている。このためさまざまに質量の異なる星も似通った光度・表面温度関係を示す。この段階の星を赤色巨星枝(きょせいし)(RGB)という。このことは京都大学の林忠四郎(ちゅうしろう)が1960年代に理論的に明らかにした。
赤色巨星は水素殻燃焼期にあって、大質量星では中心部分でさらにヘリウム反応に点火される際にヘリウムフラッシュとよばれる光度変化などの不安定現象をおこす。ヘリウム反応に点火されると水平枝星(すいへいしせい)とよばれる巨星系列に移るが、ヘリウムが燃え尽きるとふたたび漸近的に赤色巨星枝(AGB)に近づく。
代表的な巨星には、さそり座α(アルファ)星のアンタレス、うしかい座α星のアークトゥルス、オリオン座α星のベテルギウス、おうし座α星のアルデバランなど、夜空を飾る明るい星々が多い。球状星団や楕円(だえん)銀河など、年齢の古い星の集団にあっては、その全体の光のほとんどがそのなかの赤色巨星から放たれている。巨星は一部または大部分の質量を放出し、やがて白色矮星(わいせい)や、さらに重い星は超新星爆発ののち中性子星やブラックホールとして恒星の最後の姿に到達する。
[小平桂一・安藤裕康]
太陽などの主系列星または矮星(わいせい)に比べて文字どおり大きな星をいい,例えばスペクトル型がG型に属する巨星はG型矮星である太陽に比べて,その半径は10倍前後大きい。さらにK型かM型の巨星になると,その半径は太陽半径の数十倍から数百倍に達する。このような星の存在は20世紀初頭にE.ヘルツシュプルングやH.N.ラッセルにより明らかにされた。すなわち当時集積しつつあった恒星視差のデータをもとに星の絶対等級を推定することが可能となり,その結果とくにG,K,M型の星ではスペクトル型が同じでも絶対等級の明るい星と暗い星の2種類があることが明らかにされた。スペクトル型が同じであることは星の表面温度がほぼ同じであることを意味し,したがって絶対等級の明るい星は暗い星に比べて表面積が大きいことを意味する。ラッセルはこのような巨星の存在は星の進化を考えるうえで重要であることを直ちに指摘し,星が誕生するとまず巨星になり,これが重力収縮して矮星に進化すると考えた。しかし,その後A.S.エディントンによる《恒星内部構造論》(1926)を経て巨星の本質が理解されたのは20世紀中葉になってからである。すなわち星は誕生後その生涯の大部分を主系列星として過ごすが,その間に中心部で水素の核融合によりエネルギーを発生する。その結果,やがて星の中心部にはヘリウムの核が形成され水素はその周辺の殻で燃え続ける。この段階になると星の中心部でのエネルギー発生は止まり重力収縮が起こるので質量の中心集中度が増大し,同時に星の外層部は膨張してここに巨星への進化が始まる。すなわち巨星はむしろ主系列星の次の進化の進んだ段階に対応し,このような星ができるのは恒星進化の結果として内部に不均質構造が形成されるためであることが明らかにされた。高温の星も主系列を離れた星は巨星または光度階級Ⅲに分類される星になるが,高温の主系列星は質量が大きいため,とくに主系列を離れた後の進化の時間尺度が早く,このため高温の巨星が存在する確率は小さい。結局,主系列より進化した星は大部分G,K,M型のいわゆる赤色巨星の領域に集中してくる。
執筆者:辻 隆
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…恒星は高密度の星間雲の凝縮と分裂によって生じ,誕生したばかりの星は原始星と呼ばれる。これらは,温度が低く赤色で,光度も半径も大きい超巨星であるが,その時期は短くごくふつうの安定な状態にある主系列星へと進化する。ただし,質量のあまり大きくない星ではこの主系列前の巨星または亜巨星の時期があり,おうし座T型星はこれに相当する。…
※「巨星」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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