差引く（読み）サシヒク

デジタル大辞泉

さし‐ひ・く【差（し）引く】

［動カ五（四）］
１ ある数量から他の数量を引き去る。「月給から税金を―・く」
２ ある事柄の過不足などを判断する。「外見の悪さを―・いても性能は評価できる」
３ 潮が満ち引きする。また、体温が上下する。
[可能]さしひける
[類語]引く・除く・割り引く・差っ引く・値引く・控除・マイナス

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

さし‐ひ・く【差引】

1. [ 1 ] 〘 自動詞 カ行五（四） 〙
   1. ① 差したり引いたりする。手を水平に前に伸ばしたり体の近くに縮めたりする。
      1. [初出の実例]「さしひく手を、ちらと、心ほどには動かさで」(出典：花鏡（1424）動十分心動七分身)
   2. ② 潮や温度が上がったり下がったりする。
      1. [初出の実例]「高縄をさし引塩の末の松山風あれて」(出典：光悦本謡曲・善知鳥（1465頃）)
2. [ 2 ] 〘 他動詞 カ行五（四） 〙
   1. ① ある分量のものから一部分を減らす。引き去る。
      1. [初出の実例]「大市庄算用に左進上了。指引てのこり十石一斗未進」(出典：多聞院日記‐天正一二年（1584）三月五日)
   2. ② 二つのものを比べ損得や過不足などをはかる。
      1. [初出の実例]「てんでんが奉公人をわるくいふから又奉公人の方でもわるくいう筈だァ。差引(サシヒイ)て見りゃあお互っこだから」(出典：滑稽本・浮世風呂（1809‐13）三)
   3. ③ 過不足を計算する。収入と支出との計算をする。
      1. [初出の実例]「八八六十四文取て湯に入る時は一人分十文払ふ、差引(サシヒ)くと五十四文づつ利がある」(出典：滑稽本・浮世風呂（1809‐13）前)
   4. ④ 簿記で、貸借のうち、金額の大きい方から小さい方を引いて残高を出す。

出典　精選版 日本国語大辞典