己等(読み)オイラ

デジタル大辞泉 「己等」の意味・読み・例文・類語

おい‐ら【等/等】

[代]《「おれら」の音変化一人称人代名詞。おれ。おら。ふつう、男性が用いる。
[類語]おれわしおらあっしこちとらわたくしわたしあたくしあたしあたいわらわあちき自分当方此方こちらこっち吾人ごじん我がはい手前てめえ・愚輩・拙者身共それがし不肖ふしょう小生愚生迂生うせい

おの‐ら【等】

[代]
一人称の人代名詞。われら。自分たち。
「―がいとけなきを見捨てて」〈宇津保・俊蔭〉
二人称の人代名詞。相手を卑しめののしっていう語。おまえら。きさまら。
「―が口からいひにくくば」〈浄・千本桜

おのれ‐ら【己等】

[代]
二人称の人代名詞。おまえら。きさまら。「己等は役立たずばかりだ」
一人称の人代名詞。私ども。
「―よりは、なかなか御存知などもこそ候はめ」〈徒然・六七〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「己等」の意味・読み・例文・類語

おのれ‐ら【己等】

  1. 〘 代名詞詞 〙 ( 「ら」は接尾語 )
  2. 自称
    1. (イ) 「おのれ」(自称)の複数。話し手側を卑下していう。
      1. [初出の実例]「げにをのれらが見奉るにもさなんおはします」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜上)
    2. (ロ) 単数の場合。自らを卑下していう。
      1. [初出の実例]「おのれらよりは、なかなか御存知などもこそさうらはめ」(出典:徒然草(1331頃)六七)
  3. 対称。「おのれ」(対称)の複数。下位者に対して、あるいは、相手をののしっていう。
    1. [初出の実例]「郎等共に行かむと為れば、己等は我が道妨げむと為るにこそ有けれ」(出典:今昔物語集(1120頃か)一九)

おの‐ら【己等】

  1. 〘 代名詞詞 〙 ( 「ら」は接尾語 )
  2. 自称。複数。自分たち。おのれら。
    1. [初出の実例]「我等(オノラ)が父(かそ)子、並に蘇我より出でたり」(出典日本書紀(720)舒明即位前(図書寮本訓))
  3. 対称。同輩以下を卑しめののしることば。複数にも単数にも用いた。「おのれら」の変化といわれる。うぬら。
    1. [初出の実例]「をのら一人ものこさずうちころさん」(出典:御伽草子・強盗鬼神(室町時代短篇集所収)(江戸初)下)

おい‐ら【己等・俺等】

  1. 〘 代名詞詞 〙 自称。「おれら」の変化したものといわれる。男が用いるのが普通であるが、江戸時代には町人の女も用いた。おれ。おら。
    1. [初出の実例]「どの様な茶がおいらには似合ふぞい」(出典:雑俳・三国志(1709))
    2. 「おいらも弱虫じゃアねへよ」(出典:滑稽本・浮世風呂(1809‐13)前)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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