已講(読み)イコウ

デジタル大辞泉 「已講」の意味・読み・例文・類語

い‐こう【×已講】

南都三会さんえ講師を勤めあげた僧。天台宗では、法華大会の講師を勤めた者をもいう。
興福寺一乗院および大乗院僧職の名。
浄土宗西山派学階の一。

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精選版 日本国語大辞典 「已講」の意味・読み・例文・類語

い‐こう【已講】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「三会已講師(さんえいこうし)」の略 ) 僧の学階を表わす称号で、有職三綱の一つ。宮中御斎会薬師寺最勝会、興福寺の維摩会の三会の講師を勤めあげた僧をいう。のちに、天台宗では天台三会の講師を勤めた者をもいう。法相宗浄土宗などでは今日も学階の一つとして行なわれている。
    1. [初出の実例]「天暦九年三月四日念仏院講論講師観理已講」(出典:大乗掌珍論天暦九年点(955)識語)

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世界大百科事典(旧版)内の已講の言及

【僧綱補任】より

…推古32年(624),天武2年(673),文武2‐永治2年(698‐1142)の僧綱に補任された僧の名,初任,昇進,略伝,入滅などを編年体で記す。承和1年(834)以降の記述には僧綱任命と密接な資格となる已講(いこう)(南都三会の講師をつとめた僧。のち天台三会にもいう)に関連する興福寺維摩会(ゆいまえ)講師名を記し,のちには他の已講にかかわる法会の講師名,さらにこれに準ずる最勝寺灌頂(かんぢよう)などのことを記している。…

※「已講」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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