巴文(読み)ともえもん

改訂新版 世界大百科事典 「巴文」の意味・わかりやすい解説

巴文 (ともえもん)

紋章一種。巴は蕨(わらび)形の頭をもった流線が円周に沿って流れる形で,その原形は水渦,雲文,雷文,あるいは火焰の便化したものともいわれる。中国はもちろん,中央アジア,スキタイなどの古銅器や瓦などにも古くからこの文様が用いられている。家紋として用いたのは,公家では西園寺家,武家では宇都宮小山,結城氏にはじまるという。鎌倉時代以後は武家の間でこの紋を用いるものが多く,江戸時代に入っては300以上に及んだという。紋の種類としても数の多いほうで,いわゆる〈二つ巴〉〈三つ巴〉というような原形的なものから,これが種々に組み合わされた〈組み巴〉〈違い巴〉などがあり,70種以上に及ぶ。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

防府市歴史用語集 「巴文」の解説

巴文

 弓をいるときに左手につける鞆[とも]という防具をかたどった模様のことです。C字形をしており、勾玉[まがたま]に形が似ています。

出典 ほうふWeb歴史館防府市歴史用語集について 情報

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