布(読み)フ

デジタル大辞泉 「布」の意味・読み・例文・類語

ふ【布】[漢字項目]

[音]フ(呉) ホ(漢) [訓]ぬの しく
[学習漢字]5年
〈フ〉
1 麻や綿などの織物。一般に、織物。ぬの。「布衣ふい・布巾ふきん・布帛ふはく/画布・乾布・絹布・財布・湿布・瀑布ばくふ・麻布・綿布・毛布」
2 平らに敷き広げる。「布陣・布石/散布・塗布」
3 広く行き渡らせる。「布教・布告・布施・布令ふれい/公布・宣布・配布・発布・頒布・分布・流布るふ」
4 古代中国の貨幣の一種。「布銭/泉布・刀布」
〈ぬの〉「布地・布目/麻布」
[名のり]しき・たえ・のぶ・よし
[難読]荒布あらめ・御布令おふれ・搗布かじめ・毛布ケット・布哇ハワイ・布団ふとん・布衣ほい・布衣ほうい・忽布ホップ・布袋ほてい・若布わかめ・和布わかめ

ぬの【布】

1 織物の総称。古くは、絹に対して、麻・葛くずなどの植物繊維で織ったものをいい、のち、木綿も含めた。
2 建築で、横・平ら・水平・平行などの意を表す語。「布羽目はめ」
[類語]布地・生地・服地・反物・呉服・太物

ふ【布】

1 ぬの。「敷しき布」「葛くず布」
2 布銭ふせん。

にの【▽布】

「ぬの(布)」の上代東国方言。にぬ。
「筑波嶺つくはねに雪かも降らる否をかも愛しき児ろが―乾さるかも」〈万・三三五一〉

ほ【布】[漢字項目]

⇒ふ

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精選版 日本国語大辞典 「布」の意味・読み・例文・類語

ふ【布】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ① 絹以外の植物性の繊維の織物の総称。ぬの。
    1. [初出の実例]「給二戸頭百姓、種子各二斛、布一常、鍬一口一」(出典:続日本紀‐養老七年(723)二月己酉)
    2. [その他の文献]〔儀礼‐士喪礼〕
  3. ② =ふせん(布銭)
    1. [初出の実例]「明治新銭譜などを参考し乍ら緑雨は系統的に刀(とう)・布(フ)などの話から姶めた」(出典:杏の落ちる音(1913)〈高浜虚子〉一五)
    2. [その他の文献]〔周礼‐天官・外府〕

ぬの【布】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ① 麻・苧(からむし)・葛(くず)などの繊維で織った織物。絹に対していう。後世は木綿をも加え、絹および毛織以外の一切の織物をいう。
    1. [初出の実例]「其の王子は布(ぬの)の衣褌(きぬはかま)を服て、既に賤人(やつこ)の形に為りて」(出典:古事記(712)中)
  3. ② ①と絹の総称。
  4. ③ 建築で、語の上に付けて平ら・水平・横・平行などの意を表わす語。「布羽目」「布竹」

にの【布】

  1. 〘 名詞 〙 「ぬの(布)」をいう上代東国方言。にぬ。
    1. [初出の実例]「筑波嶺(つくはね)に雪かも降らる否(いな)をかも愛(かな)しき児ろが爾努(ニノ)乾(ほ)さるかも」(出典:万葉集(8C後)一四・三三五一)

にぬ【布】

  1. 〘 名詞 〙 ( 現在、「の」の甲類の万葉仮名とされている「怒・努・弩」などを「ぬ」と読んだところからできた語 ) =にの(布)
    1. [初出の実例]「布〈略〉またにぬともしるすは、にはぬいのひびきあり。ぬににぬのひびきありと見ゆ」(出典:東雅(1717)七)

のんの【布】

  1. 〘 名詞 〙 =のの(布)
    1. [初出の実例]「布子(おひえ)の裏をの、布布(ノンノ)に解て見たらの」(出典:滑稽本・浮世風呂(1809‐13)二)

のの【布】

  1. 〘 名詞 〙 「ぬの(布)」の変化した語。〔かた言(1650)〕

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普及版 字通 「布」の読み・字形・画数・意味

布
常用漢字 5画

[字音] フ・ホ
[字訓] ぬの・ぜに・しく・つらねる

[説文解字]
[金文]

[字形] 形声
古い字形は(父)に従い、(ふ)声。〔説文〕七下に「(あさ)の(おりもの)なり」とあって、ぬの。木綿が作られる以前は、麻布・褐布が普通であった。蚕は卜文にみえ、また金文に「毳布(ぜいふ)」の名がみえるが、みな富貴の人の用いるもので、のちの世になっても、布衣とは身分のないものをいう。布衣は粗衣、わが国では「ほい」とよむ。敷(ふ)と通用する。

[訓義]
1. ぬの、植物繊維のおりもの。
2. ぜに、泉布。
3. 貨財、みつぎ。
4. 敷と通じ、しく、ひろげる、つらねる、あまねし、ゆきわたる。
5. 命を布告する、しらせる、たっし。

[古辞書の訓]
〔和名抄〕布 沼能(ぬの)〔名義抄〕布 ヌノ・シク 〔立〕布 ヌノ・シク・ノブ・アマネシ・オヨブ・コケロク・ホドコス・ウク

[声系]
〔説文〕に布声の字を怖()・釜()のように、甫(ふ)声を以て示すものが多い。甫声の字に(敷)・(博)のように広布の意をもつものがあり、声義に通用の例が多い。

[語系]
布paは普・溥・鋪pha、phiuaと声近く、また旁bang、播puaiも同系の語で、ひろくゆきわたる意がある。

[熟語]
布帷▶・布衣▶・布衍▶・布演▶・布▶・布化▶・布花▶・布貨▶・布画▶・布褐▶・布冠▶・布義▶・布教▶・布局▶・布巾▶・布衾▶・布裙▶・布景▶・布恵▶・布袴▶・布鼓▶・布▶・布護▶・布功▶・布侯▶・布告▶・布穀▶・布衰▶・布索▶・布▶・布衫▶・布散▶・布算▶・布施▶・布写▶・布手▶・布種▶・布序▶・布絮▶・布裳▶・布新▶・布陣▶・布設▶・布泉▶・布泉▶・布銭▶・布素▶・布総▶・布袋▶・布帯▶・布致▶・布置▶・布暢▶・布陳▶・布▶・布同▶・布衲▶・布徳▶・布団▶・布▶・布帛▶・布幕▶・布帆▶・布被▶・布疋▶・布筆▶・布武▶・布服▶・布覆▶・布聞▶・布袂▶・布▶・布▶・布法▶・布袍▶・布満▶・布幔▶・布諭▶・布流▶・布縷▶・布令▶・布列▶・布路▶・布露▶
[下接語]
衣布・布・雲布・貨布・画布・布・冠布・棊布・均布・金布・絹布・功布・弘布・貢布・昆布・紗布・財布・散布・施布・緇布・湿布・漆布・昭布・上布・織布・森布・征布・星布・宣布・泉布・銭布・粗布・布・粟布・大布・紵布・陳布・展布・廛布・伝布・塗布・刀布・配布・白布・帛布・瀑布・発布・頒布・披布・被布・匹布・敷布・分布・敝布・遍布・抱布・麻布・綿布・毛布・羅布・里布・流布・布・列布・裂布・練布・露布

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世界大百科事典(旧版)内の布の言及

【ワカメ(若布)】より

…褐藻類コンブ目アイヌワカメ科の食用海藻(イラスト)。ワカメは日本および朝鮮半島沿岸に分布し,日本では,暖流の影響のある北海道の西岸から広く九州まで及ぶ。低潮線付近から漸深部にかけての岩上に生育し,春から初夏にかけて繁茂する。…

※「布」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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