布政使(読み)ふせいし(その他表記)bù zhèng shì

改訂新版 世界大百科事典 「布政使」の意味・わかりやすい解説

布政使 (ふせいし)
bù zhèng shì

中国,明・清の地方官。明代,1省内の府州県を統括し,主として中央戸部に隷属する行政官庁として布政使司があり,按察使司(司法)・都指揮使司軍事)とならんで三司とよばれた。布政使は布政使司の長官であるが,中期以後しだいに総督巡撫が設けられると,その地位は以前より低くなった。清もこの制をうけたが,清では総督,巡撫が定制となったので,布政使はその監督下にあった。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「布政使」の意味・わかりやすい解説

布政使
ふせいし
bu-zheng-shi; pu-chêng-shih

宣布政使ともいう。中国,明・清代の地方官。洪武帝は洪武9 (1376) 年,元の行中書省 (行省) を廃止して布政使司をおき,布政使をその長官とし,一省の財政戸口,田土の調査,朝命の宣布,道,府以下の監督およびその他の一般行政を司らせた。監察を司る提刑按察使軍政を司る都指揮使と並んで三司という。明の中期以後,実質的に総督巡撫地方長官権限をもつようになると布政使の地位は低下し,清代には1省に1人となり,総督,巡撫から監督された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「布政使」の意味・わかりやすい解説

布政使
ふせいし

中国、明(みん)・清(しん)代の地方官。正しくは承宣布政使という。明初、地方の13省に承宣布政使司を設け、長官として左・右の布政使を置いて省の政治をつかさどらせた。しかし、北京(ペキン)、南京(ナンキン)付近は直隷(ちょくれい)と称して、布政使を置かず、中央政府が府や州を直轄した。清代には南直隷江蘇(こうそ)、安徽(あんき)の2省に分かち、北の直隷も省として布政使を置き、かつその人数を1人とした。明以来、臨時に総督、巡撫(じゅんぶ)などの大官が地方に派遣され、やがて常設の官となり、布政使の上に臨んだが、制度上は布政使が省の長官であり、主として財政をつかさどり、俗に方伯(ほうはく)と称せられた。

[宮崎市定]

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旺文社世界史事典 三訂版 「布政使」の解説

布政使
ふせいし

明・清代に行政・財政を司った地方長官
監察を司る按察使,軍政を担当する都指揮使とともに一省の最高責任者で,中央に直属。明の中期以後,臨時に派遣された総督・巡撫が地方長官の実権を握るようになり,清代には事実上その属官となった。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「布政使」の解説

布政使(ふせいし)

明清時代の地方官庁である布政使司の長官。各省に設けられ,軍事,司法を除く地方の行政,財政に関するすべてを統轄した。明では地方三司の一つをなす。

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