帯鉤(読み)たいこう(英語表記)dai-kou

精選版 日本国語大辞典 「帯鉤」の意味・読み・例文・類語

たい‐こう【帯鉤】

〘名〙 中国春秋戦国時代から漢代にわたり盛行した鉤(かぎ)状の帯金具青銅製、鉄製が主で、骨製、玉製もある。日本では岡山県榊山古墳など少数類品出土。〔列子‐力命〕

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デジタル大辞泉 「帯鉤」の意味・読み・例文・類語

たい‐こう【帯×鉤】

中国、戦国時代から代にかけて盛行したかぎ状の帯金具。青銅製のほか、鉄・軟玉製などがある。

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普及版 字通 「帯鉤」の読み・字形・画数・意味

【帯鉤】たいこう

おびがね。〔列子、力命〕管夷吾、小白(斉の桓公)と(きよ)に戰ひ、に射て小白の帶鉤に中(あ)つ。~管仲を召し、~任ずるに國を以てす。號して仲と曰ふ。桓たり。

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世界大百科事典 第2版 「帯鉤」の意味・わかりやすい解説

たいこう【帯鉤 dài gōu】

男性用の革帯につける帯留めの金具。中国の春秋戦国時代から後漢代にかけて広く用いられた。基本的な構造はスプーン形の鋳造品で,細い棒状一端を表側へ鉤(かぎ)状に折り曲げ,幅の広い部分の裏側にボタン状の突起をつくりだしたもの。戦国時代の銅俑や秦始皇陵兵馬俑坑の戦士俑によって使用法がわかる。革帯の一端に一字形の切込みをいれてボタン状突起をさしこみ,帯のもう一端に小円孔をあけて鉤状の部分をひっかけ,腹の中央でとめるのである。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「帯鉤」の意味・わかりやすい解説

帯鉤
たいこう
dai-kou

中国古代に用いられた帯金具の一種。一端が鉤となり,裏面中央にはボタン状留金具がつき,それを帯の一端に固定し,鉤部を帯の他端に留めて締める。表には各種の装飾が施され,金銀を象眼したもの,竜,亀,へび,鳥などの動物文を表現したものなどがある。材料としては,青銅,鉄,ガラスなどが用いられた。戦国時代に北辺民族との交渉によって中国にもたらされたと考えられ,戦国時代,漢代に盛行した。

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百科事典マイペディア 「帯鉤」の意味・わかりやすい解説

帯鉤【たいこう】

中国の春秋戦国時代〜漢代に流行した,革帯(かくたい)を締めるための具。青銅・鉄製のものが多く,骨・玉製もある。細長い琵琶状,棒状の具の一端を鉤(かぎ)状に曲げた形が多く,戦国時代のものには,象嵌(ぞうがん)などを施した意匠に富むものが見られる。

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世界大百科事典内の帯鉤の言及

【帯金具】より

…鉄器時代初期のハルシュタット文化A期では,円盤形の先に環を付したものと,小型の円盤の一端に舌をつけてこの先を鉤状に曲げた組合せが普及している。これらは帯鉤(たいこう)の一種である。帯金具とは皮革ないし布製の帯の表面につけた金・銀あるいは金銅製の飾金具で,一般に方形をなし,それに透し彫または打出しの図文をほどこしてある。…

※「帯鉤」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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