干渉計(読み)かんしょうけい(英語表記)interferometer

精選版 日本国語大辞典 「干渉計」の意味・読み・例文・類語

かんしょう‐けい カンセフ‥【干渉計】

〘名〙 一つ光源から出た光を、二つまたは二つ以上の光路分けて、一定光路差をもたせ、再び一点に集めた時に生じる干渉縞(かんしょうじま)を観測して、光の波長や微小な距離を測る装置
※旅‐昭和二六年(1951)六月号・村の天文台山本一清〉「天体直径測定用の干渉(カンショウケイ)

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デジタル大辞泉 「干渉計」の意味・読み・例文・類語

かんしょう‐けい〔カンセフ‐〕【干渉計】

光源からの光を二つ以上に分け、再び合わせたときの光波干渉現象を利用して、光の波長屈折率スペクトル構造などを計測する装置。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「干渉計」の意味・わかりやすい解説

干渉計
かんしょうけい
interferometer

光の波動が重なったときにおこる干渉作用を利用して、長さ(距離)、表面形状や屈折率の測定、さらにスペクトル線微細構造などを調べる装置。マイケルソン型、ジャマン型、ファブリ‐ペロ型、ルンマー‐ゲールケ型など種々の装置が考案されている。

 二つの単色の光波が重なったとき、波の干渉によって新しい光波がつくられるが、二つの入射光波の間の位相関係によって、振幅に強弱を生ずる。一つの光源からの光を二つの光路に分け、ある長さを進んだあとでふたたび合致させ、干渉波をつくると、分かれていた間に通過した光路の長さの差によって、干渉波に強弱ができる。したがって、光路の差を徐々に変えていくと、干渉波の強度が波形に変化した図形を得られる。また干渉波のつくられる場所に従って、光路差が異なっているときは、空間的な縞(しま)模様が観測される。これらを干渉縞という。光路差が一定量だけ順次に異なっている多数の波が干渉した場合には、結果として得られる干渉縞は鋭い細かい線からできている。回折格子によってつくられるスペクトル線の像は、多数のスリット(溝)によって回折された光波間の干渉の結果つくられるので、細かい線となって現れたものである。

[尾中龍猛]

『D・マラカラ著、成相恭二・清原順子・辻内順平訳『光学実験・測定法』Ⅰ、Ⅱ(2010・アドコム・メディア)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「干渉計」の意味・わかりやすい解説

干渉計
かんしょうけい
interferometer

光の干渉を利用して光の波長,長さの精密測定,光路中に置かれた気体の屈折率などを測定する装置。代表的なものとしてマイケルソンの干渉計がある。これは光源から出た単色光をレンズで平行にしたのち,45度に傾けて置いた半透明鏡に投射し,透過してまっすぐに進む光と反射されて直角方向に曲げられた光に分ける。分れた光はそれぞれ垂直に置かれた平面鏡で反射されて,もとの半透明鏡に戻るが,そこで半透明鏡を透過,反射した両方の光波を同時に観測すると,半透明鏡から平面鏡まで2つの光路の差が,光の半波長の偶数倍か奇数倍かに従って明暗を生じる。これによって2つの平面鏡の光路差やその変化を知ることができる。このほか,マッハ=ツェンダーの干渉計ファブリ=ペローの干渉計ジャマンの干渉計ルンマー=ゲールケ平行板などがある。

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百科事典マイペディア 「干渉計」の意味・わかりやすい解説

干渉計【かんしょうけい】

光の干渉を利用して波長,光路長,屈折率などを測定する装置。一光源から出た光を適当な方法で二つまたはそれ以上に分け,ある光路差をもたせて再び集めたときの干渉を観測する。2光線の干渉を利用するものに,反射鏡を移動させて光路を変えるマイケルソン干渉計(1881年),光線の通路に気体を挿入して光路を変化させその気体の屈折率を測定するジャマン干渉計(1856年)があり,ほかに2枚の平行ガラス板の間で光線を繰り返し反射させ多数の平行光線に分け,その干渉を測定するファブリー=ペロー干渉計(1897年)などがある。

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化学辞典 第2版 「干渉計」の解説

干渉計
カンショウケイ
interferometer

光の屈折率や波長測定のための光学器械.一つの光源からの光を鏡や複プリズムなどによって二つ以上の光路に分け,これをふたたび集めると光の干渉による明暗のしまが見られる.このしまの位置から光路にある媒質の屈折率を測定する干渉屈折計と,光の波長を測定する干渉分光器がある.マイケルソン干渉計,フレネルの複プリズム,ファブリ-ペロー干渉計,ルンマー-ゲルケ干渉計などがある.

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世界大百科事典 第2版 「干渉計」の意味・わかりやすい解説

かんしょうけい【干渉計 interferometer】

電磁波の波動性やその重畳性を実証するため,19世紀初頭ヤングT.Youngの複スリットやフレネルA.Fresnelの複プリズムによる光波干渉実験が行われて以来,種々の干渉実験が行われている。これらの実験セットを干渉計と呼んでもさしつかえないが,一般には光の干渉作用を物理や化学諸量の測定に利用することを目的として組み立てられた光学装置を指すことが多い。干渉計の原理は,一つの光源からの光を複数光束に分割して相互間に一定の位相差を与え,再度会合させることにより干渉縞を得ようとするものである。

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