改訂新版 世界大百科事典 「座(坐)禅」の意味・わかりやすい解説
座(坐)禅 (ざぜん)
仏教の修行法の一つ。座って禅を修すこと。禅は精神統一を意味する,サンスクリットのディヤーナ,もしくはパーリ語のジュハーナの音訳で,人々の日常生活の姿勢を,行・住・坐・臥の四つに分けるうち,禅の実践には,坐の姿勢がもっとも適当であるため,特に座禅の名称が起こる。座禅の仕方は,《リグ・ベーダ》の時代からほぼ一定していて,両脚を組んで座り,その上に両手を揃えておく結跏趺坐(けつかふざ)を基本とし,中国と日本では,いくつかの坐禅儀にその方法を詳説するが,後代はしだいに身体の姿勢よりも,精神的な心構えを重視するようになり,禅を必ずしも坐に限らず行住坐臥,語黙動静のすべてをその姿とするに至った。とりわけ中国と日本の公案禅では,静止的な禅定より,日常の動中のくふうを重視する。たとえば,白隠の《坐禅和讃》に,衆生本来仏なり,歌うも舞うも法の声,と歌うのは,その典型である。
執筆者:柳田 聖山
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