廃る(読み)スタル

デジタル大辞泉 「廃る」の意味・読み・例文・類語

すた・る【廃る/×頽る】

[動ラ五(四)]
廃れる1」に同じ。「いつのまにか古い習俗が―・ってしまった」
廃れる2」に同じ。「―・ってしまった服装
そこなわれる。失われる。「男が―・る」
[動ラ下二]すたれる」の文語形

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「廃る」の意味・読み・例文・類語

すた・る【廃】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
    1. 物事が衰えて行なわれなくなる。すたれる。
      1. [初出の実例]「道すたらば、寿福をのづから滅すべし」(出典:風姿花伝(1400‐02頃)五)
      2. 「まことに和哥のはしくれなる俳諧さへ、かくすたりゆけば」(出典:浮世草子・西鶴織留(1694)三)
    2. 物事が衰えたり、物が腐ったりしてだめになる。また、人が傷や病気のため役に立たなくなったり、失われたりする。すたれる。
      1. [初出の実例]「毛利と申名之儀、涯分末代まてもすたり候はぬやうに」(出典:毛利家文書‐(弘治三年)(1557)一一月二五日・毛利元就書状)
      2. 「おのれと朽ちて、すたりゆく木陰に腰を懸ながら」(出典:浮世草子・好色一代男(1682)一)
      3. 「『不良少年も食へなくなりました』それかあらぬか、『腕』はすたって」(出典:浅草紅団(1929‐30)〈川端康成〉五五)
    3. 面目や名誉が失われる。すたれる。
      1. [初出の実例]「一歩壱つ取出し女郎におくれば、是はとうれしき顔つきにて、ひそかにいただきけるを〈略〉此太夫のすたる程さもしく見へける」(出典:浮世草子・傾城禁短気(1711)四)
      2. 「若い学生さんを身ぐるみ剥いだなんて言われたら、名がすたるね」(出典:われら戦友たち(1973)〈柴田翔〉二)
    4. 捨てられる。放っておかれる。おっぽられる。
      1. [初出の実例]「ただ賢人で道にすたりおちたものをとらぬと云ことか」(出典:玉塵抄(1563)九)
      2. 「結構なあまりものが仰山有て〈略〉勿体ないほど捨(ス)たって仕舞ふ」(出典文明開化(1873‐74)〈加藤祐一〉二)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 ラ行下二段活用 〙 用いなくする。他のものに代えて、用いなくする。
    1. [初出の実例]「第三には既に一を立てて三を廃(スタル)」(出典:法華義疏長保四年点(1002)四)
  3. [ 3 ] 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙すたれる(廃)

廃るの語誌

( 1 )四段活用は中世以降、下二(下一)段活用と並び用いられたが、近世ではむしろ四段活用が多用され、近代から現代にかけては下一段活用が多く用いられる。ただし、慣用句複合名詞では四段形が多くみられる。「男がすたる」「はやりすたり」など。
( 2 )近世以降「捨」の字をあてる慣用があり、それにひかれた意味展開もみられる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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