廟会(読み)びょうえ(その他表記)miào huì

改訂新版 世界大百科事典 「廟会」の意味・わかりやすい解説

廟会 (びょうえ)
miào huì

中国において,寺院,道観,神祠を総称して廟とよび,そこにまつられる神仏誕辰を記念して若干日間は一般に開放され,祭礼が行われる。これを廟会とよび,日本の縁日にあたる。その期間は廟の境内参道に参詣客をあてこんだ露店商人や大道芸人が集まってにぎわい,市民行楽の場所となる。その市(いち)を〈香市〉〈廟市〉という。期間中は寺僧や道士によって法儀が執行され,参詣者が進香(焼香)するほか,その廟に縁のある信仰団体や職業組合が参加して演劇などを奉納する。また主神の像を神輿(しんよ),神船に載せて市中を練り歩くことも行われ,これを〈出巡〉とよんだ。その際,信心家は行列の先後に仮装して随従する風習もあった。これらを総称して〈迎神賽会(げいしんさいかい)〉という。後世この風習が廃れた後も,有力な寺廟での定期の廟会は行楽の年中行事となり,さらに定着すると宗教信仰を離れた物資流通のマーケットとなって,今日のいわゆる〈市場〉〈商場〉に発展した。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の廟会の言及

【市】より

…〈草市〉も元来は定期市であったらしいが,宋以後の市制度の崩壊後,〈定期市〉が地方都市や郷村のみならず国都でも見られるようになった。定期市は集,市,市集などとよばれ,華南地方では墟あるいは墟市とよばれ,寺廟の行事と結びつくと廟市あるいは廟会とよばれた。定期市が開かれるときを集期あるいは会期というが,1年に何回か開かれる年市と,10日ごとに何回か開かれる旬市と,毎日開かれ日常品を扱った日市があった。…

※「廟会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android