中世において枡の大小から生じる計量上の増加分。私枡の種類が急激に増加した平安時代末期から鎌倉・室町時代にかけて,大きな枡で量った年貢米等を小さな枡で再計量する必要が少なくなかった。例えば各地の荘園からの年貢米等をそれぞれ異なる量の荘枡で収納した領主は,これを消費にあてるためには,それらより小さな領主枡あるいは下行(げぎよう)枡で統一的に量り直さなければならなかった。このようにして生じた計量上の増加分を,一般に〈延〉,ときには〈交分(きようぶん)〉と称した。そしてこれらは,現地において計量に関与した荘官,代官等の給与にあてられた例もある。さらにまたきわめてまれな例ではあるが,荘枡が領主側の枡より容量が少ないために,枡目が減少する場合もあった。このような減少分は,とくに〈縮(ちぢみ)〉と呼んだ。
執筆者:宝月 圭吾
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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