弄う(読み)イラウ

デジタル大辞泉 「弄う」の意味・読み・例文・類語

いら・う〔いらふ〕【弄う/×綺う】

[動ワ五(ハ四)]《「いろ(弄)う」の音変化か》
いじる。さわる。ふれる。
「そんなに店の物を―・いまわるな」〈黒島二銭銅貨
からかう。なぶる。
「あんまり深切が過ぎて、人を―・ふ様な言ひ分」〈浄・極彩色娘扇

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精選版 日本国語大辞典 「弄う」の意味・読み・例文・類語

いら・ういらふ【弄】

  1. 〘 他動詞 ハ行四段活用 〙 ( 「いろう(綺・弄)」の変化した語か )
  2. 物をいじる。もてあそぶ。さわる。
    1. [初出の実例]「其うへいらふて見ましたればまだ人肌で御座った」(出典:虎寛本狂言・仏師(室町末‐近世初))
    2. 「『ヴクトル』は袂時計の鎖をいらひだした」(出典:あひゞき(1888)〈二葉亭四迷訳〉)
  3. 人をなぶる。からかう。おもちゃにする。
    1. [初出の実例]「あんまり深切が過て、人をいらふ様な言分(いいぶん)」(出典:浄瑠璃・極彩色娘扇(1760)六)
  4. 手を加える。手入れをする。修理する。
    1. [初出の実例]「船宿するによって、裏の離れをいらうたばかり」(出典:歌舞伎・桑名屋徳蔵入船物語(1770)四)

弄うの補助注記

「いらふて」「いらうて」などは「イローテ」と読んだと思われるから、「いろう」と厳密には区別しにくい点がある。→いろう(綺)

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