引込む(読み)ヒキコム

デジタル大辞泉 「引込む」の意味・読み・例文・類語

ひき‐こ・む【引(き)込む】

[動マ五(四)]
引っ張って中へ入れる。引いてきて入れる。「電線を―・む」「田に水を―・む」
仲間に誘い入れる。「悪の道に―・む」
人の心を引き寄せて夢中にさせる。「観客を―・む見事な演技」「思わず話に―・まれる」
ひどい風邪にかかる。「風邪を―・む」
ひっこむ」に同じ。
「婆さんはだまって―・んだ」〈漱石坊っちゃん
[動マ下二]ひきこめる」の文語形
[類語]引き入れる抱き込む巻き込む誘ういざなう招く呼ぶ誘い合わせる誘い出すおびき出す・誘い入れる・誘い込むおびき寄せる引きずり込む引っ張り込む・誘いかける・呼びかける働きかける持ちかける勧誘誘引袖を引く口を掛ける声を掛ける水を向ける鎌を掛ける

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「引込む」の意味・読み・例文・類語

ひき‐こ・む【引込】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 マ行五(四) 〙
    1. 引いて内へ入れる。ひきいれる。
      1. [初出の実例]「大たて揚(あげ)の膸当(すねあて)脇楯(わいだて)の下へ引こうて」(出典太平記(14C後)一四)
    2. さそってなかまに入れる。また、ある状態に人をさそい入れる。
      1. [初出の実例]「始め我を誘(ミチビ)(〈注〉ヒキコム)く時に当りて毅然として、否と云」(出典:西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉一〇)
    3. 金銭などを引き出して使い込む。費消する。
      1. [初出の実例]「嫁入道具の代銀を。遣らずにおのれが引込んで我が親騙(かた)って一札させ」(出典:浄瑠璃・五十年忌歌念仏(1707)中)
    4. 笠、帽子、頭巾など目深にかぶる。
      1. [初出の実例]「ふるき蓑に、編笠ふかくひきこみて」(出典:曾我物語(南北朝頃)五)
    5. 感冒を身に受ける。風邪をひく。
      1. [初出の実例]「引こむは敗毒散でなをる物 されども入(いる)水風呂の滝」(出典:俳諧・西鶴大矢数(1681)第一五)
  2. [ 2 ] 〘 自動詞 マ行五(四) 〙ひっこむ(引込)[ 一 ]
    1. [初出の実例]「鄭谷は、僖宗の時の、黄巣が乱を、さけて、楊州の、かたに、ひきこみて、乱の治るを、待たと、みへたぞ」(出典:三体詩素隠抄(1622)二)
  3. [ 3 ] 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙ひきこめる(引込)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

発見学習

発見という行為の習得を目指す学習。または,発見という行為を通じて学習内容を習得することを目指す学習。発見学習への着想は多くの教育理論に認められるが,一般には,ジェローム・S.ブルーナーが『教育の過程』...

発見学習の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android