張込む(読み)ハリコム

デジタル大辞泉 「張込む」の意味・読み・例文・類語

はり‐こ・む【張(り)込む】

[動マ五(四)]
(「貼り込む」とも書く)台紙などにはりつける。「アルバム写真を―・む」
ある場所に待機して見張る。特に、警官犯人の立ち回り先などにいて見張る。「駅に刑事が―・む」
一つの事に力を入れる。また、思い切って大金を使う。奮発する。「祝儀を―・む」
高圧的な言い方で相手を屈伏させる。やりこめる。
「縫ひ物がひとつ出来ねえ癖に、といっぱいに―・まれて」〈滑・浮世床・二〉
[類語]見張り監視立ち番ピケ張り番張り込みマーク物見見張る目を光らす

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精選版 日本国語大辞典 「張込む」の意味・読み・例文・類語

はり‐こ・む【張込】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙
    1. 水などを順々に入れていっぱいにする。いっぱいに満たす。
      1. [初出の実例]「池をはりこめたる水のおほかればいひのくちよりあまるなるべし〈藤原輔相〉」(出典:拾遺和歌集(1005‐07頃か)物名・三九五)
    2. 網などを広げてその中に入れて出ないようにする。
      1. [初出の実例]「春霞あみにはりこめ花散らば移ろひぬべし鶯とめよ」(出典:班子女王歌合(893頃))
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 マ行五(四) 〙
    1. いっぱいに入れる。水などを入れていっぱいにする。
    2. ( 「貼込」とも ) 中にはって固定する。台紙などにはりつける。
      1. [初出の実例]「紅葉を引手に張り込んだ障子が」(出典:彼岸過迄(1912)〈夏目漱石〉停留所)
    3. 精出して努力する。力を入れる。意気ごんでする。
      1. [初出の実例]「もうちっと張込んで遣って見ろえ」(出典:歌舞伎・勧善懲悪覗機関(村井長庵)(1862)四幕)
    4. ( 自動詞的にも用いる ) 奮発して大金を投ずる。おおいに散財する。おごる。
      1. [初出の実例]「ぐいと張込(ハリコン)で料理の拵へ」(出典:談義本・穴意探(1770))
    5. 理屈を言って屈伏させる。文句を言ってねじこむ。
      1. [初出の実例]「サアといふと客にもはりこむ事きびしく」(出典:洒落本・浪花色八卦(1757)桔梗卦)
    6. 一定の場所に待機して見張番をする。見張る。
      1. [初出の実例]「おいらんが〈略〉見勢さきにはり込んでゐたもんだから」(出典:安愚楽鍋(1871‐72)〈仮名垣魯文〉二)
    7. 張って固定する。張り渡す。
      1. [初出の実例]「陸より索を張込(ハリコ)み是にすがりて乗組し者は」(出典:近世紀聞(1875‐81)〈染崎延房一一)

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