強請る(読み)ネダル

デジタル大辞泉 「強請る」の意味・読み・例文・類語

ねだ・る【強請る】

[動ラ五(四)]
甘えたり、無理に頼んだりしてほしいものを請い求める。せがむ。せびる。「小遣いを―・る」「おもちゃを―・る」
難くせをつけて要求する。ゆする。
「おれを―・って銀取らうとは」〈浄・曽根崎
ぐずぐず文句を言う。ごねる。
「客様さへ紛らかしてくれなさるに、華車様聞こえぬと―・りけるを」〈咄・軽口大黒柱・四〉
[動ラ下二]に同じ。
「たった今給はらんとぞ―・れける」〈浄・百日曽我
[用法]ねだる・せがむ――「小遣いをねだる(せがむ)」「公園に連れていってとねだる(せがむ)」など、物や行為を求める意では相通じて用いられる。◇「ねだる」のほうが用いられる範囲が広く、物品に関しても行動に関しても言う。また「無いものねだり」「おねだり」のような名詞的用法も「ねだる」に限られる。◇「せがむ」のほうは、「幼児が母親に抱いてとせがむ(=だっこをせがむ)」のように、行為を要求する場合に多く用いる。◇類似の語に「せびる」がある。しつこく強要して金や物をもらう意がより強い。「しつこく申し出て、相当の金品をせびり取った」
[類語]せびるせがむ無心求める頼む請う仰ぐ懇請する懇望する要望する所望する要請する要求する請求するちょうする催告する迫る強要強請請託依頼懇願ゆすり請い求め願うリクエストアンコール

もが・る【強請る/虎落る】

[動ラ四]
異議を申し立てる。逆らう。
「いとたつ事を―・りければ」〈大和・附・二〉
言いがかりをつけて金品をねだる。ゆする。たかる。
「七十に成る浄閑が―・られたといふ外聞悪さ」〈浄・寿の門松

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「強請る」の意味・読み・例文・類語

ねだ・る【強請】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 ラ行五(四) 〙
    1. 強いて物を乞う。甘えて要求する。ねだれる。
      1. [初出の実例]「参てねだらう、なふなふさだめてさけがたんとうれうと思ふて、むかひにきたよ」(出典:虎明本狂言・河原太郎(室町末‐近世初))
      2. 「母に強求(ネダ)るが、許されない」(出典平凡(1907)〈二葉亭四迷〉四)
    2. 言いがかりをつけて金品を要求する。難くせをつけてゆする。ねだれる。
      1. [初出の実例]「菟角けふのうちによい程にとねたられけるに」(出典:浮世草子・西鶴織留(1694)四)
      2. 「父様(ととさん)はこなたが切殺しておいて、今のやうにねだったのじゃの」(出典:歌舞伎・韓人漢文手管始(唐人殺し)(1789)四)
    3. ぐずぐず文句をいう。理屈をいう。ねだれる。
      1. [初出の実例]「客様さへ紛らかしてくれなさるに、華車様聞えぬと、ねだりけるを」(出典:咄本・軽口大黒柱(1773)四)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 ラ行下二段活用 〙ねだれる(強請)

もが・る【強請・虎落】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 ラ行四段活用 〙
    1. 異議を申し立てる。抗議する。さからう。反抗する。
      1. [初出の実例]「男、うちつけながら、いとたつ事をもがりければ」(出典:大和物語(947‐957頃)御巫本附載)
    2. 言いがかりをつけて金品をねだる。ゆする。〔評判記色道大鏡(1678)〕
  2. [ 2 ] 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙 苦しみなやむ。また、気をもむ。〔日葡辞書(1603‐04)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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