だん‐がい【弾劾】
〘名〙
①
罪状を調べ、あかるみに出すこと。罪過をあばき訴えること。
※明治月刊(1868)〈大阪府編〉五「
文書を以て補弼を弾劾するは上議府に限るべし」 〔
北史‐魏収伝〕
※
輿地誌略(1826)三「
国主より以下諸政官司を鑒し、之を弾劾するを任とす」
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デジタル大辞泉
「弾劾」の意味・読み・例文・類語
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普及版 字通
「弾劾」の読み・字形・画数・意味
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弾劾
だんがい
impeachment
行政部の高官や特別の身分保障を受ける裁判官などの公務員が重大な法律上の義務違反や反社会的な行為を犯したとき,議会がこれを訴追し,処罰する制度。イギリスで生れ,各国議会が採用している。コモン・ローにおいては立法府が公務員を罷免するための刑事手続として設けられている。イギリスやアメリカでは,下院が検察官,上院が裁判官の役割をになう。イギリスでは弾劾で有罪となった場合には一般の裁判と同様の刑事罰を被告に対して課すことができるが,アメリカでは解職や資格剥奪などの行政罰に限られる。日本国憲法においては裁判官に対してのみこの制度を採用しており,各議院において選出された同数の訴追委員で構成される弾劾裁判所が罷免の可否について審理を行う。なお国家公務員については,人事官についてのみ弾劾の制度を設けている。 (→公の弾劾 )
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だんがい【弾劾 impeachment】
広く立法部における刑事訴追手続を指すが,また,一定の公職にある者の非行に対しその責任を問い,司法上の刑事罰を科すこととは別に,議会の決議や特別な裁判所の裁判によりその者の地位や公職就任の資格を剝奪することを指す。 弾劾の制度は,中世のイギリスにおける王会(クリア・レギス)が有した絶対的司法機能に起源を発し,14世紀にその機能を受け継いだ議会で,下院が訴追し上院が裁判するという手続として形成された。一般私人も対象としたが,それは,とくに議会による政府の監督機能を発揮することを目的とし,国王の大臣や高級官吏の非行について刑罰を科しその者を罷免させる手段として用いられた。
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世界大百科事典内の弾劾の言及
【議院内閣制】より
…18世紀初頭になると,大臣副署制の運用によって,君主権力の実質が大臣たちの手に移行しはじめ(1714年にハノーバー王朝の初代として王位についたジョージ1世が英語を解さなかったことが,大きな転機となった),それとともに,大臣たちは君主により任命されると同時に,議会とりわけ下院の信任を得ていることが必要とされるようになった(1742年,R.ウォルポール首相は,国王の信任を得ていたのに,下院の支持を失って辞職した)。もともと,大臣の対議会責任は,法によって定められた弾劾事由にもとづいて個々の大臣の責任を問うために,下院が上院に対して弾劾impeachmentの手続をとる,という形で追及された。そのような個々の大臣についての弾劾手続から出発して,しだいに,弾劾を避けるために議会の支持を失った大臣はみずから辞職するようになった。…
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