精選版 日本国語大辞典 「当座」の意味・読み・例文・類語
とう‐ざ タウ‥【当座】
〘名〙
① 居合わせているその座。その席。また、その場にいる人々。その席上の人々。
※大鏡(12C前)四「当座の御おもては優にて、それにぞ人々ゆるし申給ける」
※平家(13C前)二「当座の公卿みな長方の義に同ずと申あはれけれども」
※虎寛本狂言・三人片輪(室町末‐近世初)「某は当座能い物を預た」
③ その場ですぐなされるさま。即座。即刻。
※古今著聞集(1254)一六「この歌の返しつかうまつるべし。但六首を一首にてかへすべしと、仰下されければ、当座につかうまつりける」
※浄瑠璃・源頼家源実朝鎌倉三代記(1781)三「若小忰有とも当座に捻り殺して仕廻ふ」
④ その場かぎり。その時だけ。一時。
※玉塵抄(1563)一六「大国の楚がせがむほどに当座したがうかををするまでぞ」
⑤ さしあたり。しばらくの間。当分。
※玉塵抄(1563)二七「いつわって先当座奉公人になって」
※明月記‐建久二年(1191)閏一二月四日「有二当座狂歌等一」
⑦ 「とうざばらい(当座払)」の略。
※俳諧・類船集(1676)太「売買の銀は当座にとりやりこそよけれ」
⑧ 「とうざがい(当座買)」の略。
※浮世草子・好色盛衰記(1688)四「煙其日暮しに立て、突米の当(タウ)座、扣き納豆、あさりのぬきみ、居ながら調て自由成住家なり」
⑨ 「とうざよきん(当座預金)」の略。
※朝野新聞‐明治二二年(1889)九月二四日「定期当座の預け主は〈略〉引出しを請求すれども」
⑩ 話題になっている、芝居などのその一座。
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