精選版 日本国語大辞典 「役者評判記」の意味・読み・例文・類語
やくしゃ‐ひょうばんき ‥ヒャウバンキ【役者評判記】
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歌舞伎(かぶき)劇書。江戸時代初期から明治初頭まで、京・江戸・大坂(ときに名古屋を加える)の歌舞伎を対象に、毎年出版された役者の技芸批評の書物。現在残る最古の書は1659年(万治2)刊『野郎虫(やろうむし)』。初期には野郎役者の容姿の特色をあげ、特技を褒める役者賛仰(さんぎょう)の記だったが、歌舞伎の演劇的成長とともに技芸の批評へと進んだ。1699年(元禄12)刊『役者口三味線(やくしゃくちじゃみせん)』(京・八文字(はちもんじ)屋刊)で、ほぼ一定の型を備えるに至る。
書物の体裁は、京・江戸・大坂をそれぞれ一冊とする三冊本、黒表紙小形の横本形式。役者を役柄で分類し、それぞれの役者に「位付(くらいづけ)」と称する評価(極上上吉、上上吉、上上半白吉、上上、上など)を与え、当該年度の所属座を明記する。評判は、「ひいき」「わる口」などが登場して、褒貶(ほうへん)さまざまの印象を述べ批評しあうのを、「頭取(とうどり)」が出て「まあまあ」ととりなす形式をとることにより、役者を褒めることに主眼を置きながら、批判も盛り込めるようになっていた。役者中心の構造をもつ歌舞伎史を知るうえで、欠くことのできない重要資料である。
[服部幸雄]
『歌舞伎評判記研究会編『歌舞伎評判記集成』(第1期10巻・別巻1〈『野郎虫』から享保末年まで〉1972~77、第2期10巻・別巻1〈元文2年の『役者多名卸』から明和末年まで〉1987~95・岩波書店)』
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…劇場が整備され,役者の数が増加し,見物の層が広がった。野郎評判記が出版されるが,当初の容色本位の野郎賛仰からしだいにその技芸をも評判するようになり,役者評判記の性格を濃くしていく。野郎歌舞伎の時代は,初期歌舞伎における重要な飛躍の時期であり,元禄歌舞伎の準備期間でもあった。…
…また,中世には,能,狂言に関する劇評的記述も諸書に散見される。江戸期に入り,《遊女評判記》にならって,歌舞伎の《役者評判記》(初期のものは〈野郎評判記〉と呼ぶ)が刊行されるようになった。初めは役者の容色,姿態を品評するだけであったが,しだいに技芸評に重点がおかれるようになり,《役者口三味線(くちざみせん)》(1699∥元禄12)にいたって新しく合評形式を確立した。…
…江戸時代に出版された遊女や歌舞伎役者の品評を記した書。遊女のそれは〈遊女評判記〉,役者のそれは〈役者評判記〉と呼ばれる。現存する遊女評判記の最古の作品は1655年(明暦1)刊の京都島原の《桃源集(とうげんしゆう)》,役者評判記の最古の作品は1659年(万治2)京都刊の《野郎虫(やろうむし)》。…
…美濃の二つ切り本を枕本(まくらぼん)ともいい,八文字屋版の浮世草子好色物にはこの形態をとるものがある。役者評判記は多く半紙二つ切り本,名所案内記,道中案内記などには三つ切り本が見られる。横本は懐中するに便利なため,持ち運んで用いる小型実用書にはこの形態をとるものがよく見られる。…
※「役者評判記」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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