彼方此方(読み)あっちこっち

精選版 日本国語大辞典 「彼方此方」の意味・読み・例文・類語

あっち‐こっち【彼方此方】

(「あちこち」の変化した語)
[1] 〘代名〙 =あちこち(彼方此方)(一)
洒落本・通仁枕言葉(1781)「あっちこっちへ云ひやって、仕めへにゃァつかみ合」
[2] 〘形動〙 =あちこち(彼方此方)(二)
人情本春色辰巳園(1833‐35)三「私と仇吉んとあっち此方(コッチ)なら、おまへもそんな愚智をいって」

あち‐こち【彼方此方】

[1] 〘代名〙 他称。いろいろの方向または地点をさし示す。また、所々方々、あれこれ、いろいろ、などの意で副詞的にも用いる。あちらこちら。あっちこっち。
※宇治拾遺(1221頃)三「牛の、あちこちありき困(こう)じたるに」
古今集遠鏡(1793)三「こちの心がサ、花といっしょにあちこちとちっていくやうな心もちがする」
[2] 〘形動〙 逆になっているさま。あべこべ。反対。あちらこちら。あっちこっち。
随筆蘐園雑話(1751‐72頃)「親が子を引合すべきに、子にて親を引合すはあちこちなり」

あちら‐こちら【彼方此方】

[1] 〘代名〙 =あちこち(彼方此方)(一)
※俳諧・はりまあんご(1789)「水音もあちらこちらや朧月玉井〉」
[2] 〘形動〙 =あちこち(彼方此方)(二)
浮世草子西鶴織留(1694)六「あちらこちら成事を申て、さまざまに難儀させ、何十軒か此手を仕掛ける」
※浮世草子・傾城色三味線(1701)大坂裸身羽織をあちらこちらに着て」

あっちら‐こっちら【彼方此方】

(「あちらこちら(彼方此方)」の変化した語)
[1] 〘代名〙 =あちこち(彼方此方)(一)
[2] 〘形動〙 =あちこち(彼方此方)(二)
滑稽本浮世風呂(1809‐13)三「『おめへの傍(そば)へ倚(よ)ると色かぶれがしてこまらア』『ヘン、きつい洒落さ。そりゃア、あっちらこっちらだよ』」

かなた‐こなた【彼方此方】

〘代名〙 他称。いろいろの方向、または地点をさし示す。あれこれ、いろいろなどの意で副詞的にも用いる。あちらこちら。あちこち。処々方々。
※宇津保(970‐999頃)楼上下「七夕祭、かなたこなたとせさせ給へり」
太平記(14C後)三二「継母の讒に依て、那辺這辺(カナタコナタ)漂泊し給つるが」

あなた‐こなた【彼方此方】

〘代名〙 他称。あちらこちら。ほうぼう。
※宇津保(970‐999頃)春日詣「宮よりはじめ奉りて、女みこたち、あまたの北の方、あなたこなたあはせてここの所」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「彼方此方」の意味・読み・例文・類語

あち‐こち【×方】

[代]指示代名詞。いろいろの場所や方向をさす。あちらこちら。あっちこっち。「彼方此方から寄付が集まる」「彼方此方歩き回る」
[形動][文][ナリ]物事の順序や位置が逆になっているさま。あべこべ。「話が彼方此方になる」「靴下を彼方此方にはく」
[類語]そこかしこここかしこあちらこちらおちこちそこここところどころ点点方方諸方各地各所随所どうこう何やかやそうこうあれこれとかくとこう何かと何かといえば何かにつけ何くれ何くれとなくかれこれなんだかんだなんのかのどうのこうのああだこうだあれやこれやとざまこうざま

あちら‐こちら【×方】

[代]あちこち」に同じ。「彼方此方の名所を訪ね歩く」
[形動ナリ]あちこち」に同じ。
「―なる事を申してさまざまに難儀させ」〈浮・織留・六〉

かなた‐こなた【×方】

[代]遠称の指示代名詞。いろいろの場所・方向などをさす。あちらこちら。方々。
「見渡す海原の―には三本檣マストの大きな漁船が往来ゆききして居る」〈荷風・ふらんす物語〉

あっち‐こっち【×方】

[代]あちこち」に同じ。「彼方此方の知人宅を泊まり歩く」

あなた‐こなた【×方】

[代]指示代名詞。あちらこちら。あれこれ。
「君の御身には、かの一節の別れより、―もの思ひとて」〈・若菜下〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

今日のキーワード

暖冬

冬期3カ月の平均気温が平年と比べて高い時が暖冬、低い時が寒冬。暖冬時には、日本付近は南海上の亜熱帯高気圧に覆われて、シベリア高気圧の張り出しが弱い。上層では偏西風が東西流型となり、寒気の南下が阻止され...

暖冬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android