得分(読み)トクブン

デジタル大辞泉 「得分」の意味・読み・例文・類語

とく‐ぶん【得分】

もうけ。利益
ある人がもらう分。とりぶん。分けまえ。
中世、荘園の領主荘官地頭などが、所領から年貢として得た収益
[類語]利益儲け収益利潤利得利沢黒字実益益金利金純利純益差益利鞘マージンゲインプロフィット

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精選版 日本国語大辞典 「得分」の意味・読み・例文・類語

とく‐ぶん【得分・徳分】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 自分のもらう分。とりぶん。わけまえ。
    1. [初出の実例]「予得分五巻之中手自書写一巻」(出典:権記‐長保三年(1001)三月二八日)
  3. 自分の得になること。利益。もうけ。
    1. [初出の実例]「我為面目ありしたびの事ながながと書き続けて侍こそをかしく、されどこの文の得分に、自讚少々まぜてもいかが侍らん」(出典:無名抄(1211頃))
  4. 特に、荘園領主・荘官・地頭などが得る収益。地利得分とも。
    1. [初出の実例]「要劇田皆有本得分、故茂親朝臣為郷之時領知也」(出典:権記‐長保四年(1002)三月二九日)
  5. ( 徳分 ) 徳として身についているもの。
    1. [初出の実例]「何もしないでゐて一代を暮して行ける自信は生れつきのものらしく、根が坐って、それを徳分と信じ切ってゐる」(出典:帰郷(1948)〈大仏次郎〉牡丹の家)

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百科事典マイペディア 「得分」の意味・わかりやすい解説

得分【とくぶん】

荘園の領主(本所領家)・荘官・地頭等が,その職(しき)(権利)に伴って得る収益。
→関連項目相馬御厨田仲荘横川関和佐荘

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「得分」の解説

得分
とくぶん

律令制では法的に相続権の認められている親族相続財産をさしたが,中世では荘園領主・荘官・私領主・地頭・地主など重層的に存在した土地所有者の収益をいう。社会的に認められた得分権が法的に認定されると職(しき)(権利)として定着し,さかんに売買・相続・寄進の対象となった。中世初期の私領主得分や鎌倉後期以降の地主得分(加地子(かじし))の移動は,それぞれ荘園や惣村の形成に大きな影響を与えた。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

旺文社日本史事典 三訂版 「得分」の解説

得分
とくぶん

荘園の職 (しき) に伴う収益
主として鎌倉時代,領主(本家・領家)・地頭・荘官などの職(権利)から生じる収益(主として米)をいうが,さらに作手職 (さくてしき) ・下作職 (げさくしき) などの得分もある。

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