御免(読み)ゴメン

デジタル大辞泉 「御免」の意味・読み・例文・類語

ご‐めん【御免】

正式に免許・認可することを、その決定を下す者を敬っていう語。「名字帯刀ご免になる」「天下ご免
役職などを解かれることを、その決定を下す者を敬っていう語。「お役がご免になる」
嫌で拒否する気持ちを表す語。もうたくさん。「戦争二度ご免だ」
過失などをわびるときや許しをうときに言う語。「遅くなってご免
他家を訪問したり辞去したりするときに言うあいさつの語。「ご免、お邪魔するよ」「では、ご免
[類語]辞退固辞謝絶断り願い下げ断る拒むいな辞する謝する拒絶拒否遠慮一蹴不承知難色拝辞する退けるね付ける突っねる峻拒しゅんきょする

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精選版 日本国語大辞典 「御免」の意味・読み・例文・類語

ご‐めん【御免】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「ご」は接頭語 )
  2. 免許することを、その動作主を敬っていう語。
    1. [初出の実例]「出家の志の候ふよし〈略〉此由法皇へ伺ひ申して御免ありけり」(出典:平家物語(13C前)二)
    2. 「阿蘭陀船(おらんだせん)は御免ありて、肥前平戸へ船は来たしぬ」(出典:蘭東事始(1815)上)
  3. 免官、または、免職することを、その動作主を敬っていう語。
    1. [初出の実例]「エ御免(ゴメン)にお成りだとエ…ヲヤマどうしてマア」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一)
  4. 容赦、赦免することを、その動作主を敬っていう語。
    1. [初出の実例]「御めんわたらせおはしまして、かれらを御たすけ候べし」(出典:曾我物語(南北朝頃)三)
    2. 「何とありとも我はまいるまい。御免あれとて弟子をのぼせて」(出典:史記抄(1477)一四)
  5. 拒否する気持を表わす語。もうたくさんである。いやである。御免を蒙る。
    1. [初出の実例]「そんな事は、御免(コメン)だ御免だ」(出典:洒落本・辰巳之園(1770))
    2. 「どうも驚ろいた。以来君と旅行するのは御免(ゴメン)だ」(出典:二百十日(1906)〈夏目漱石〉二)
  6. ごめんがわ(御免革)日葡辞書(1603‐04)〕
  7. ごめんげた(御免下駄)」の略。
  8. 他家を訪問したとき、また、辞去するときに言う挨拶(あいさつ)の語。
    1. [初出の実例]「『それぢゃ、まあ御免』と源さんが挨拶する」(出典:草枕(1906)〈夏目漱石〉二)
    2. 「『御免』と訪問(おとづ)れる」(出典:草枕(1906)〈夏目漱石〉一一)
  9. 謝罪、ことわりなどを言うときに発する語。
    1. [初出の実例]「『御めんなんし』とすわり」(出典:洒落本・寸南破良意(1775)手代)
    2. 「美登利さん昨夕(ゆふべ)は御免(ゴメン)よと突然(だしぬけ)にあやまれば」(出典:たけくらべ(1895‐96)〈樋口一葉〉六)

御免の語誌

もともと「許可」を意味する「免」に尊敬を表わす接頭語「御」のついた語。その後、「御免」の下に命令形を伴って、軽いことわりや、詫びの意を表わす「ごめんあれ」「ごめんくだされ」「ごめんなされ」などの形が生じた。これが定着すると、省略形としての「ごめん」も近世中期頃から用いられるようになった。

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