御坊(読み)ゴボウ

デジタル大辞泉 「御坊」の意味・読み・例文・類語

ご‐ぼう〔‐バウ〕【御坊/御房】

僧房、または寺院を敬っていう語。
僧を敬ってよぶ語。「師の―」
[類語]僧侶坊主坊さんお寺様僧家沙門法師出家比丘僧徒桑門和尚住職住持方丈入道雲水旅僧

ごぼう【御坊】[地名]

和歌山県西部の市。西本願寺日高御坊門前町として発達。日高川河口に臨み、製材業が盛ん。人口2.6万(2010)。

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精選版 日本国語大辞典 「御坊」の意味・読み・例文・類語

ご‐ぼう‥バウ【御坊・御房】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( 「ご」は接頭語 )
    1. 僧房、または寺院などをいう尊敬語。
      1. [初出の実例]「僧正なくなく御坊を出て、粟田口のほとり、一切経の別所へいらせ給ふ」(出典:平家物語(13C前)二)
    2. 僧侶に対する尊敬語。
      1. [初出の実例]「仏の御弟子にさぶらへば、御仏供のおろしたべんと申すを、このこはうたちの惜しみ給ふ」(出典:枕草子(10C終)八七)
      2. 「念仏・読経、四威儀をやぶる事なかれと、恵心の御房も戒め給ふにこそ」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)一)
  2. [ 2 ] 〘 代名詞詞 〙 僧に対して敬って呼びかける語。
    1. [初出の実例]「彼の御(おは)する御房、我を助け給へ」(出典:今昔物語集(1120頃か)四)
  3. [ 3 ] ( 御坊 ) 和歌山県西部、日高川の河口にある地名。中心地区の御坊は本願寺別院(日高御坊)の門前町として発達した。古来、日高川の河港で、熊野街道の渡船場。現在は紀勢本線が通じる。木材の集散、野菜の栽培が盛ん。昭和二九年(一九五四市制

お‐ぼう‥バウ【御坊】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「お」は接頭語 )
  2. 他人の子を敬っていう語。また、世事にうとく子供っぽいこと。また、その人。
  3. 僧のいる建物を敬っていう語。
  4. 僧を敬っていう語。ごぼう。

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改訂新版 世界大百科事典 「御坊」の意味・わかりやすい解説

御坊[市] (ごぼう)

和歌山県中西部,日高川河口にある市。1954年御坊町と湯川,藤田,野口,名田,塩屋の5村が合体,市制。人口2万6111(2010)。県第二の広さをもつ日高平野(御坊平野)の大部分を占める。阪和自動車道のインターチェンジがある。御坊の名は,1595年(文禄4)日高川河口に4町四方の土地を得てつくられた日高御坊(浄土真宗本願寺派本願寺日高別院)を中心とする寺内町に由来する。近世には,流域からいかだによって集められた木材や周辺農村で産する綿花,ハゼカンショなどの集散地として発達した。町内では多くの問屋が廻船業も営み,その繁栄は屋敷の残る古い町並みにうかがえる。現在の主産業は製材・木工業とプラスチック工業で,火力発電所を設置し,電子産業の誘致を進めている。市の南部の海岸段丘では,温暖な気候を利用して畑地灌漑による蔬菜栽培が盛んである。紀勢本線御坊駅が中心市街の北2kmに置かれたため,紀州鉄道(全長3.4km)が両者の間を結んでいる。道成寺が市の北部にある。
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世界大百科事典(旧版)内の御坊の言及

【三昧聖】より

…三昧(墓所)の庵室に居住し,火葬や埋葬,墓所の管理などにあたった俗聖。一般に墓守,御坊(おんぼう)(隠坊)などと称される。墓所が三昧とよばれるようになってからの呼称であろうが,文献上の初見は15世紀はじめに書かれた聖聡の《浄土三国仏祖伝集》で,〈薩生法眼,三昧義を立つ。…

※「御坊」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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