御手(読み)オテ

デジタル大辞泉 「御手」の意味・読み・例文・類語

お‐て【御手】

[名]
相手を敬って、その手、また、その筆跡をいう語。「お手拝借」「お手をわずらわす」「見事なお手の軸」
犬などが、片前足を上げ、差し伸べた人の手のひらにのせる芸。また、それを命じる語。
[感]相撲で、行司二人を合わせるときの掛け声
「『今度は心得て行司をせい』『畏ってござる。いや、―』」〈虎寛狂・鼻取相撲〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「御手」の意味・読み・例文・類語

お‐て【御手】

  1. [ 1 ] ( 「お」は接頭語 )
    1. 手、筆跡などの主を敬っていう語。
      1. [初出の実例]「志賀の山お手ばかりなるわらび哉〈正次〉」(出典:俳諧・毛吹草(1638)五)
      2. 「御手もよし筆紙もよし是はさてみればまことに住よしの松」(出典:狂歌・豊蔵坊信海狂歌集(17C後))
    2. 所有とすること。また、その物。
      1. [初出の実例]「金子四十七両弐分のお手でござります」(出典:歌舞伎・染替蝶桔梗(1816)序幕)
    3. 食器の類を盆などに載せないで直接手渡しすること。
      1. [初出の実例]「『お客さまだからお茶台へ乗せて上ますのに〈略〉』『ヘヱ、悪う御座いますからお手で下さい』」(出典:人情本・春情花の朧夜(1860頃か)初)
    4. 犬などに前足を上げさせて、人のさしのべた手にふれさせること。
    5. 数量の五をいう、酒屋などの符丁。〔特殊語百科辞典(1931)〕
  2. [ 2 ] 〘 感動詞 〙 相撲で、行司(ぎょうじ)が二人を立ちあわせる時に言うかけ声。
    1. [初出の実例]「手合いして坊主うちたむいて『おて』といふていると『一ぱんこい』と云て」(出典:虎明本狂言・飛越(室町末‐近世初))

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